神は遊戯に飢えている。 細音啓(MF文庫J)
天才ゲーム少年と元神様の少女と仲間たちによる、至高の神々との究極頭脳戦。
大枠としては頭脳ゲームバトルものですね。ただ、ゲーム制作サイドが神々ということもあり
その内容は一部ルールが不明だったり突然変更があったりと、気まぐれ、理不尽、そして時々理解不能。
そんな人間からすれば無理ゲーにしか見えないゲームの攻略の糸口を見つけ、ゲームを楽しむ。
いかなる時もその姿勢を崩さず遊戯に挑む主人公たちの姿が実に頼もしく、痛快極まりないです。
ゲーム自体も、現実の肉体が傷ついたり生死に関わったりということはないので安心して見れますしね。
ラストは最終戦に勝利し、人類の悲願であった十勝目を手にし完全攻略を成し遂げた主人公たち。
しかし人と神の遊戯に終わりはなく、賑やかな日々は続いていくのだったエンド。
ラブコメ的には進展がないまま終了。というかそもそも作中において恋愛要素はほとんどなかった気が。
主人公は「神々の遊び」通算成績無敗の「近年最高のルーキー」と期待される使徒の少年。
根っからのゲーム好きで、負けすらも込みで楽しめる(勿論負けっぱなしは嫌)メンタルの持ち主。
完全制覇の際の神への願いは、幼い頃ずっとゲームで遊んでくれた恩師との再会。
コミュ力・行動力が高く、ゲームマスターである神さえ想定しない攻略法を導き出す閃きが強さの根源。
ヒロインはゲーム好きな元神、気弱なテレポーター、猪突猛進娘。
特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
評価はC。
ゲームを題材にした作品は数多いですが、この作品は神々が制作やプレイヤーを務めているだけあって
スケールもダイナミックさも桁外れ。ただ、それだけに運や駆け引きよりも知略に重きが置かれている模様。
キャラに関しては、この手の作品の主人公は冷めてる系か巻き込まれ系で、能動性がないことが多いため
当作品の主人公のように勝ち負けにこだわらずゲームを楽しもうとする前向きな姿勢は中々に新鮮でした。
相方であるメインヒロインのレーシェの無邪気さも併せて、見ている者にワクワクを与えてくれましたしね。
神様側にしても、悪意はなく、ただ人間と遊びたいというのが動機なので憎めませんでしたし。
本筋は物語開始当初から掲げられていた神々との遊戯における十勝と、思い出のお姉さんとの再会を達成。
ラストゲームも今までの積み重ねが勝因になっていたりと、消化不良は一切なしの完成度&読後感だったかと。
あえて言うのならばラブコメ要素がほぼ皆無だったことが残念ではありましたが、これはまあ仕方ない。