七人の魔剣姫とゼロの騎士団   川田両悟(MF文庫J)



七人の魔剣姫が支配する学園に風穴を開ける少年がおくる、魔剣の学園ファンタジーストーリー。
古代人の遺跡が眠っていて、魔物が多く生息する空に浮かぶ島「飛島」。そこで見つかった遺産「至高魔具」
飛島を捜索するための資格を持つ「探訪者」を育てている学園に魔力を持たない身で転入してきた主人公。
と、ファンタジーな世界観での学園バトルものの王道を行く浪漫溢れる設定にワクワクが止まりません。
作中の常識的には弱者であるはずの主人公が周囲に力を見せつけるというお約束の魅せ方も申し分ないですし
各魔具の能力を活かしたバトルパートの迫力や派手さも良い感じで盛り上がりはバッチリ。
ラブコメ面はヒロインの一人であるアリアがメインヒロインのシャーロットに恋の宣戦布告と注目の展開に。

主人公は全ての魔剣を手に入れ、伝説の騎士団を蘇らせるためにキールモール魔術学園に転入した少年。
たまに大人びた面を見せることもあるが、普段は子供っぽい部分が強く、マイペースで物怖じしない性格。
女好きで、平然と口説き文句を吐いたり気障な言動をとるが、デリカシーに欠けるところも。
学園に入学するまでは育ての親と二人で「大陸で最も過酷な場所」と呼ばれる秘境オルゾナ高地で
過ごすことが主だったため、カレーを知らなかったりと一般的な知識や経験が不足している。
学園の統一を目指す理由は、自分の謎を解くため、そして全ての飛島を制覇するという夢のため。

ヒロインはお金にうるさい魔剣姫、プライドの高い魔剣姫。
昇格候補に風紀委員長な魔剣姫、学園最強な魔剣姫、アイドルな魔剣姫、高慢な魔剣姫、人懐っこい魔剣姫。
一番のお気に入りは少数民族ヴァンパイアの姫にして二年生の魔剣姫、ミルティ・アルカード。
ピンクの長い髪、整いすぎてまるで人形のような顔立ち、そして黒いドレスが特徴的な小柄美少女。
その圧倒的な展開力と、己が生み出した全ての影の兵士を意のままに操る指揮能力。
それでもってあらゆる相手を殲滅することから「殲滅姫」の異名で呼ばれている武闘派。
高慢で気が強く攻撃的な性格だが、自分の子供っぽい外見を気にしている可愛い一面も。

現時点(二巻)においての評価はC。
周囲を敵に回すことを恐れず、目標にただ真っ直ぐに突き進む破天荒で野生的な主人公。
こういう気弱さや卑屈な部分が一切ない、能動性に溢れている存在が主役というのは結構珍しいですね。
彼は考えなしではあるものの、きちんと大口に見合う実力を持っているから不快感は覚えませんし、格好いい。
色恋にも鈍感ではないため、ヒロイン側は押されまくりで可愛さがガンガン引き出されていますし
とにかく余計なフラストレーションがたまらないのはグッド。難点は説明臭い台詞が多いことくらいかと。
本筋は騎士団の人員を増強し、戦争にも初勝利と波に乗る主人公ですが、まだまだ敵は多い模様。