異世界はジョーカーに微笑んだ。 赤月カケヤ(MF文庫J)
腐った上級国民は全て駆逐!系ダークファンタジーストーリー。
大枠としては異世界転生ものですね。一応召喚主である悪魔から「神を殺して世界を救ってほしい」と
依頼が出されてはいるものの、この作品のメインとなるのは非道にして外道な悪人共への復讐代行。
しかし、復讐対象となる敵対者のクサレ外道具合がヤバすぎである。胸糞悪いなどというレベルではない。
彼らの悪事の内容にはマジで吐き気がしますし、そもそも同じ人間として見ることができない。
それだけに主人公が対象に報いを与える瞬間はスッキリ爽快感抜群なのですが、後味はかなり悪いです。
何せ、後に残るのは「死んだ悪人はこれ以上悪事を働くことはない」という事実だけですからね。
復讐代行って時点で既に被害者はいるわけで、当然復讐を果たそうとも取り返しはきかないわけですし…
ラブコメ面は今のところ進展なし。そもそも世界観の時点で悠長に恋愛やること自体無理ゲーくさい。
主人公は異世界に転生した、罪を犯しても裁かれることのない権力者を趣味で殺害していた頭脳派凶悪犯罪者。
人としての感情が欠如したかのように殺人に躊躇いが無く、自分の命すらも軽視する冷酷な性格で
明確な悪人以外が相手であっても、自分の都合次第では平然と危害を加えるタイプ。人を騙すことが好き。
また、気分屋だが基本的には無駄で意味のない行為はしない効率主義で精神論が大嫌い。
その一方で、妹から幸せを奪ってしまったことを後悔していたり、自分に告白してきた少女をずっと覚えていたり
意外に面倒見がよかったりと、自覚していない部分で人間味を残している。
頭の回転が良く、演技力は抜群、話術にも長けているなど、詐欺師としての能力もかなり高い。
ヒロインは正義感強き元SAT隊員。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(一巻)においての評価はC。
元の世界では正義の殺人鬼と呼ばれていた主人公ですが、当人はそれを誇りも肯定もしておらず
本心はともかく、あくまで殺人は趣味というスタンスなのがダークヒーロー感に溢れていていいですね。
実際、彼のやっていることは憂さ晴らしでしかないですし、誰かを救えているわけではないわけで。
一方彼の相方にしてメインヒロインとなる坂西結奈は今のところ立場に対して格負け感が強い印象。
主人公とは対になり、心境に影響を与えていくことになるであろう「直情的で頑固な正義の人」にしては
何もかもが弱すぎるというか、この程度の存在に主人公が変えられたらガッカリする。
本筋は二人旅で各地を巡りながら復讐代行をこなしていく、という流れで進むようですが…
悪魔からの依頼である神殺しはどうなるのか。設定からしてかなり最悪な存在のようですが、はたして