となりの彼女と夜ふかしごはん 猿渡かざみ(電撃文庫)
腹ペコ女子があなたの暮らしを彩る深夜の食卓ラブコメストーリー。
タイトル的に飯テロがメインなのかなと思いきや、お仕事ものの要素がかなり濃いです。
主人公の仕事は大手小売の文具マネージャーと馴染みがないですが、人間関係を重視して状況を改善していく
という構成になっているので、ラノベ的な読み易さがあって話の展開がわかりやすいのがいいですね。
一方、肝心の飯テロ部分については思っていたよりも比重は少な目なのが残念なところ。
食事のシーンよりも、主人公とヒロインの語らいのほうに重点が置かれている感が強いですし…
まあそもそも、私はお酒を飲まない人間なので酒のつまみがメインの飯テロは共感しにくいんですけどね。
ラストは衣料部門とのふたつの勝負に勝利し、これからも夜ふかしごはんは続いていくよエンド。
ラブコメ面はフラグが立っているヒロインが複数いるも、進展がないまま終了。
主人公は大手スーパーの文具部門で新任マネージャーとなるも、仕事漬けの毎日に憔悴しきっている青年。
入社したて、食品の畜産部門で働いていた頃はやる気全開だったが、文具部門のマネージャーに異動してからは
仕事も人間関係も上手くいかず、本編開始時点では被害者意識の塊といった感じで腐っていた。
火がついてからの馬力には目を見張るものがあるが、自分のことに手一杯になり、失言をすることが多い。
誰かと休みの合わせづらい職種なのと、職場恋愛に期待できないことから恋愛無精気味。
特技は酒のツマミ作り。
ヒロインは腹ペコ女子大生、ツンドラ型後輩。昇格候補に豪胆な先輩、ホラー系先輩。
一番のお気に入りは主人公のお隣さんなニ十歳の大学二年生。朝日カンナ。
茶髪に染められた、ふわりと膨らんだミディアムボブカットに、幼くも整った顔立ちの小柄巨乳美人。
生真面目で律儀、責任感の強い性格だが、間が抜けたところがあり、仕草も小動物っぽい。
身長が低いことがコンプレックスで、異様に食レポが上手い。
高校生の時にデビュー作で受賞し、プロの小説家としてデビューして現在二作品刊行されている。
評価はC。
サブタイトルには半同棲生活とありますが、客観的には主人公とメインヒロインの朝日はただの飲み友達で
初々しい関係性や男女二人きりであるがゆえの色気などはほとんどなかったです。
というかそういう要素は二巻の文月リンコとのほうが多かった気が…
内容としては物語開始時点では無能度高めでうだつの上がらない典型的な社畜だった主人公が
朝日からもらった言葉で目が覚めて、上司として自覚をもって前向きに頑張り、仕事が上手く回り始める。
と、気持ちの良い展開になっているので読後感は上々。職場仲間の皆さんは少々個性的すぎな気もしますがw
主人公のほうもシッカリとヒロイン側に影響を与えており、一方的な関係になっていないのもグッド。
本筋は一巻で主人公とメインヒロインに、二巻で二人目のヒロインに焦点を当てるという王道パターンの進行で
次巻は誰の主役回かなと楽しみだったのですが、まさかの二巻完結と尻切れ蜻蛉な幕切れに。
まだまだ掘り下げられそうなネタやキャラがいただけに、実に残念…