異世界の底辺料理人は絶頂調味料で成り上がる!   アサクラネル(電撃文庫)



調味料の人造精霊たちで贈る、Hな欲望一点突破ファンタジークッキングストーリー。
大枠としては料理もの……の皮を被った、もうこれ普通にアダルト系で出すべきだよねなエロ話です。
ファンタジー世界においての料理というと、ドラゴンの肉や不死鳥の卵といった浪漫溢れる食材が
主役を張るものですが、この作品における料理の主役は塩や酢、香辛料と言った調味料。
ただ、それだけなら少し変わっているな、で済むのですが、問題はそれらの調味料の採取方法なわけで。
各調味料を司る人造精霊の行為中の体液を精製する、端的に言えばエロいことして体液をゲットする。
という、破天荒過ぎるにもほどがある展開で極上の調味料を手に入れ、料理を作るわけです。
客側となる魔物も料理のあまりの美味さに蕩けたり気絶させられたりともうやりたい放題である。
ラブコメ面は今のところメインヒロインのソルティの好感度がぶっちぎりで高いようですが
人造精霊と人間は本番をしてはならないという設定がある以上、結ばれることはないわけで…?

主人公は魔族によって占領されたとある人間の街に存在する、場末の食堂の三流コック。
不運にも、魔王を満足させる料理を依頼(失敗したら自分を含めた街の人間全員が処刑)されてしまう。
本人は自分の料理の腕前を並だと卑下しているが、人造精霊の調味料に頼りきりになりながらも
それらを活かした料理を料理として成立させるだけの知識と腕、気概は持っている。
色恋に関しては、女性経験こそあるものの、その内訳は商売女のみであり、いわゆる素人童貞。
ただ、人造精霊を一人の女の子として見て接することができたりと、その感性は少々特殊。

ヒロインは勝ち気な塩精霊、無口控え目な香辛料精霊、サバサバ系な酢精霊、天真爛漫な蜜精霊。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(一巻)においての評価はC。
本番さえしなければセーフ! と言わんばかりに様々なヒロインとのエロを投入しまくる潔さに脱帽。
当然挿絵も肌色成分多めというか、そこだけ見るとどう考えてもアウトなのですが、気にしたら負け。
この辺りは作者がエロゲー畑出身ならではなのでしょう。最初から官能小説でやれとは言ってはいけない。
まあ、媒体がラノベであるがために、肝心のエロシーンがあっさり風味になっているのは否めないのですが。
もっと言えば、エロに注力しすぎているせいで他の部分がおざなりになっている感もありますしね。
ヒロインたちにしても、大半が羞恥心に欠ける痴女なのでラブコメ的な意味では萌えないですし…
調味料に頼りながらも極力客側に配慮し、試行錯誤して料理を作る主人公は好感を持てるのですが。
本筋は見事魔王を満足させる料理を作ることに成功するも、その後色々あって街を出ていくことになった主人公。
ここで終わっても問題なさそうですが、他にも人造精霊はいるようですし、続巻に期待。
しかし調味料を司るとなると、やっぱり味噌や醤油、マヨネーズなんかの精霊もいるんだろうか…