世界征服系妹   上月司(電撃文庫)



世界征服をできる力を持ってしまった妹に振り回される兄の苦労物語。
ある日いきなり世界征服できるほどの力に目覚め、実際に世界征服してしまった妹が巻き起こす
数多のドタバタ騒動に苦労する主人公、という構図で進むコミカル重視の話になっています。
この手の話の主人公は一方的にやられっぱなしの中、被害縮小に励んだり後始末に奔走するケースが多く
どうしても、流されるままの主人公にも好き勝手なヒロインにもフラストレーションが溜まりがちですが
ここの主人公は開き直って動き、シッカリと事の元凶である妹にお仕置きをするのでストレス値は低め。
兄側も妹側も、きちんとお互いに愛情を向けているのが伝わってくるのもいいですしね。
ラブコメ面は今のところ進展なし。血が繋がっていない義妹なのに兄妹愛オンリーというのは珍しい。

主人公は日本政府に泣きつかれ、世界を征服した妹の制御(ご機嫌取り)を頼まれた少年。
年齢の割に落ち着きがあり、達観的でドライ、大抵のことには物怖じしない、一言で言えば老成した性格。
また、破天荒な妹を持つがゆえに状況適応力というか、物わかりが良い(諦めが早いともいう)
色恋への感性は年齢相応で、特に年上の女性にはヘタレで弱いところがある。
妹との二人暮らし生活の中では大半の家事を担当しており、家事能力は高くも低くもない。

ヒロインは世界征服妹、家庭的な幼馴染、才色兼備な妹の親友、家事万能な家政婦。
二巻にてマイペース&苦労人な異世界双子姉妹が参入。
一番のお気に入りは政府からの紹介でやってきたニ十歳の住み込み家政婦、阿佐陽平。
身長は平均くらいの割にスタイルが凄まじく良い、落ち着いた感じで飾り気のない美人。
生まれてすぐに捨てられて施設で育ち、施設を出てからは色々なバイトで生計を立ててきた苦労人。
施設では子供の頃から年下の世話や様々な手伝いをしていたこともあり、家事能力は高い。
また、施設が現代の忍者を育てるという特殊な場所だったため、戦闘力や工作能力も高かったりする。
ただ、当人は普通に大学に行って普通に働いて普通の幸せを手に入れることを望んでいる。
物腰穏やかで献身的、基本的には常識人なのだが、変なところで空回りアクセルを踏む一面も。

現時点(二巻)においての評価はC。
メインヒロインである妹のアホの子具合を可愛いと思えるか、ウザイと感じるかで評価が変わる作品。
私はどちらかというと前者ですね。作風がちゃんとコメディしているので許容できる余地が大きいですし。
というか、キャラ的な問題があるとすれば、それはむしろ主人公のほうな気がします。
ストッパーという常識人ポジションのはずなのに、初対面の年上の人間に上から目線でタメ口って…
これでは「どの口で妹に説教しているんだお前」と突っ込まざるを得ない。作中では誰も言及しないですし。
内容自体はカオスでトンデモな展開の連続なだけに、そこだけが妙に悪目立ちしていた印象。
本筋は異世界から妹を迎えに使者がやってくるも、結局永続的な帰還はせずで決着。そして夏休みへ。