人生∞周目の精霊使い 師走トオル(富士見ファンタジア文庫)
過去の自分を育て続け、世界を、未来を覆すエレメンタルファンタジーストーリー。
大枠としては過去への逆行&ループものですね。と言ってもループのほうは強制的なものではなく
過去転移して幼い頃の自分を鍛える→成長したら融合しまた過去転移する、を繰り返すという自主的なもので
その過去転移自体も一巻後半でストップを決意するので、ループ期間中は大がかりな修行パートであり
ストーリーや他のキャラたちとの交流の本番はそれ以降ということになります。
勿論一巻の半分以上を費やしている以上、ループ期間中も色々あるのですが、次の周回でリセットですしね…
ラブコメ面は今のところ進展なし。そもそも過去転移を止めるまでは人間関係はやり直しの連続なわけで。
主人公は召喚術を極めるため「過去転移」の力で、無限の人生を歩む精霊使い。
己の思うがままに生きて召喚術を極めることが最優先であり、それ以外の面倒事を嫌っているが
思い入れのある人たちに関わることであれば、恩を返そうとする義心や、理不尽に怒りを覚える正義感
子供への慈しみなど、感情をハッキリと見せたりと、その性根は決して悪人というわけではない。
ヒロインは妹分な幼馴染、気丈なシスター、天才精霊使いお嬢様、クールな精霊騎士、研究者なエルフ。
一番のお気に入りは同盟国に派遣され、日々帝国と戦い活躍している精霊騎士、シルビア。
鮮烈な青い髪と真っ直ぐな瞳が印象的な「戦場の蒼雪」の別名を持つ美人。
非情に無口で必要なことしか喋らない、良く言えばクール、悪く言えば無機質な性格をしている。
現時点(一巻)においての評価はC。
師として自分を鍛えてから融合という手間をかけての過去転移(初回除く)というのは珍しい。
しかも何故そうしないといけないのかという理屈や、精霊の設定、周回ごとの特筆すべき出来事なども
きちんと描写されていますし、そういう意味では一巻は事実上丸々プロローグと言っていいわけですが
そこまで丁寧な仕込みをされているだけあって、世界観の重厚さはしっかりと伝わってきますね。
主人公の最強っぷりにしても、そりゃここまでやったんだから強くて当たり前という説得力がありますし。
個人的には過去転移を繰り返している最中に出会ったヒロイン候補たちの再登場があるか気になるところ。
本筋は数多の経験と考察の末に導きだした予測「未来に起きるであろう世界の消滅」を防ぐため
因果律をも超える決意をした主人公ですが、はたして世界の真実や如何に。