我が魔道書は此処に在り 大黒尚人(富士見ファンタジア文庫)
世界を変える力、魔道にすべてを捧げた少年たちの熱きバトルファンタジーストーリー。
大枠としては魔道学院を舞台にした異能バトルものですね。貴族は魔道書を代々受け継いでいる
という世界観はそれなりに独特ではありますが、それ以外の部分では目新しい設定や突飛な展開といった
この作品ならでは! という魅力に欠けている印象。その分王道という名の安定感はありますし
家の再興というハッキリとわかりやすい目的が掲げられているので方向性も明快。
バトルパートの熾烈さと盛り上がりもバッチリで、作品の完成度という点では申し分ないのですけどね。
ラブコメ面は今のところ進展なし。というかこの主人公、忠義心高すぎで恋愛とかするのだろうか…
主人公は幼き頃よりロレーヌ家に仕え、主家の没落後も後継者のルネを支えてきた少年騎士。
黒目黒髪、鋭く引き締まった精悍な顔立ちと、十五歳という年齢以上に大人びた風貌をしている。
真面目で落ち着きがあり、クールな性格をしているが、物言いは直接的なものが多い。
観察力に優れ、対人関係における気遣いもできるほうだが、女心には疎かったりも。
主家であるロレーヌ家及び現在の主であるルネに対する忠誠心は人並外れている。
ヒロインはお人好しな没落令嬢。サブにツンデレお嬢様、凛々しき騎士。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(一巻)においての評価はC。
主役コンビが七年前に陰惨な闇討ちを受け、貴族の誇りである魔道書を失った名門公爵家の生き残り
ということでシリアス色が強く、硬派な雰囲気が漂っていますが、メインヒロインであるルネが
お人よしながら芯が強くタフというキャラなこともあってか、陰鬱さはそれほど濃くはないですね。
主人公の揺るがない忠義心が伝わってくる覚悟の決まりっぷりも格好良くてグッド。
本筋は一巻時点で黒幕や背後関係のおおよそが明かされるというスピード展開ですが、さて。