転生魔王の大誤算 あわむら赤光(GA文庫)
己の強さも権力も持て余し、誤算続きで名声まで爆上げしてしまう、転生魔王のサクセスストーリー。
大枠としては異世界転生+勘違いものですね。現代日本知識を活用して内政や戦争で無双!
みたいなことは全然なかったりと、転生要素はあまり活かされておらず、勘違い要素がメインになってます。
珍しいのは、勘違いをしていない、それでいて距離の近い幼馴染がメインヒロインとしていることですね。
この手の話はどうしても主人公が孤立無援ゆえに常にアップアップで右往左往するものですが
心を許し、素で接することができる存在がいるのは大きく、逃げ場があるがゆえの安心感があります。
ラブコメ面は主人公の妻になる気満々のヒロインたちですが、彼自身は及び腰の模様。
主人公はエリートヤンキーだった双子の兄と勘違いされて不良同士のタイマンで死亡。
その後異世界に転生し、歴代最高の魔王と称される男になってしまった元草食系高校生男子。
魔王らしくいようと心がけた結果、勘違いや深読みが重なって臣下から絶大な忠誠を集めることに。
自分に自信がなく、恐いことや痛いことが大嫌いなヘタレチキンにしてインドア派な平和主義な性格。
また、自分の責任下で起きたことをいつまえもイジイジと思い悩む弱メンタルの持ち主。
特技は口八丁に寄るハッタリだが、前世で理不尽な暴力の前になすすべなく斃れた経験から
現世では徹底的な修業で身に着けた防御・治癒・解呪の三魔法を得意としている。
色恋に関しては初心でヘタレだが、興味は人並にある。つまりムッツリスケベ。
ヒロインはツンデレな傲慢、独占欲の強い強欲、妖艶な色欲、マイペースな暴食、気弱な元人妻。
一番のお気に入りは当代のベルゼブブ(暴食)を司る七大魔将の一人、ベル乃。
大柄な体格(胸も超重量級)と童顔がアンバランスな、マニアックな美貌を有する美人。
ボケーっとたした顔でいつもお腹を空かせており「…お腹空いた」がお決まりの台詞になっている。
食べること以外は何も考えていないようだが、それは馬鹿だと思われていたほうが難しいことを要求されないから
という理由が半分(食べることが一番幸せなのがもう半分)で、わざとそう見せているだけだったりする。
身体能力(怪力と強靭無比の肉体)は魔族でも一番だが、戦うのは恐いから嫌い。
家の特性上、食欲と性欲を同義としていることから、世界一美味な魔力を持つ主人公のことが世界一好き。
現時点(五巻)においての評価はC。
いつクーデターをおこされて酷い目にあわされるか怯えながらも、必死に魔王として取り繕って
ヘタレな本性がバレないように頑張る主人公の姿がコミカルであるがゆえに微笑ましく、そして笑えます。
と言っても、彼は性格がヘタレなだけで魔王としての実力はシッカリと持ち合わせていますし
決めるべきところではバッチリと魔王らしい力を見せて決めてくれるので主役としての好感度は大なのですが。
配下たちにしても、魔族的価値観ゆえに主人公のことを誤解し、自分の都合のよいように解釈していますが
それぞれのスタンスで彼に向ける尊敬と敬愛は疑う余地はないですしね。
本筋は人界侵攻を順調に進めるも、魔王の支配体制に反逆する五大悪魔が背後では暗躍していて…?