邪神官に、ちょろい天使が堕とされる日々   千羽十訊(GA文庫)



不良神官と彼に甘やかされる天使が紡ぐバトルファンタジーストーリー。
かつて神々の覇権戦争があり、偽神・ヤルダバオトが勝利した世界が舞台となっている物語です。
勝利した神が典型的な悪神であるため、当然そんな神を崇める教団も絶対に異教を認めない。
そのためなら手段を選ばないといった腐り具合を見せており、人間の醜悪さが多分に描かれていますが
それだけに、神なんぞ知るか! と思うがままに自身が悪と断じた存在を狩っていく主人公の姿が痛快。
ラブコメ面は主人公がヒロイン二人と共に歩むことを決定事項としていますが、今後の増員はなさそう?

主人公はヤルダバオド教団の巡回神官「祈師」だが、信仰心のない不良神官。
本来、天使を隷属させる祈師の立場だが、天使のチェルシーを甘やかしており、実質、相棒として旅を続けている。
外見は青黒い髪に金色の瞳を持つ知的に整った人相で、本でも持てば学徒に見える造作をしているが
ねじくれた性根から滲み出るチンピラテイストがそれら全てを完膚なきまでに台無しにしている。
柄の悪い口調に加えて粗暴で野蛮な行動と、聖職者を名乗るなどおこがましいチンピラ気質の持ち主だが
弱かろうと屈せず、意地を貫こうとする者には果てしなく優しく、自身のものであれ他者のものであれ信念を
踏みにじる者には相手の強弱を問わず、たとえ神だろうとためらいなく噛みつく後先考えないところがある。

ヒロインはツンデレ奴隷天使、尊大な魔王。
一番のお気に入りはかつての戦争で神ヤルダバオドに敗北した天使のひとり、チェルシー・ザラ。
今は神格奴隷として主人公とともに旅をしているが、その正体はかつての四大天使の筆頭であるサリエル。
一房だけ左側で結っている薄い青みを帯びた長い銀髪に、淡い赤色を宿した猫目の双眸を有する美少女。
尊大かつ生意気な性格で、態度も常にえらそうだが、主人公のことは誰よりも信頼している。

現時点(二巻)においての評価はC。
タイトルからしてラブイチャがメインなのかと思いきや、かなりガッツリとバトルシーンがあります。
勿論、主役チーム間のラブイチャの存在感もバッチリではあるんですけどね。
不良神官の名に恥じないチンピラっぷりが目立つ主人公がストレートにチェルシーを甘やかしまくる姿は
ギャップがあって楽しいですし、チェルシーのほうはツン期が終わったツンデレと言った感じで
言動だけはえらそうで生意気だけど、主人公に懐いていることがよくわかるところが実に可愛らしい。
セカンドヒロインのアストリッドもチョロ可愛くて違和感なく二人の間に入り込んでいますし。
本筋は最終的にはヤルダバオト打倒が終点となるようですが、さて。