僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　赤城大空（ガガガ文庫）



最弱の少年が最強の師匠たちと共に最強へと駆け上がっていく、適度に過保護な育成系バトルラブコメストーリー。
表面上は王道の成長物語ですが、その裏では「最強女師匠たちのお婿さん育成計画」が進行していたりと
コミカルな雰囲気も強め。師匠たちが施す修行ひとつとっても、彼女たちの実力と経験と財産をふんだんに用いた
贅沢極まりないものばかりですし、客観的に見れば優しさ溢れるおねショタな空気全開なんですよね。
勿論、主人公が勇気を振り絞ったり、身に着けた強さを披露する熱い展開や不穏なシリアス要素もありますが…
ラブコメ面は今のところ主人公自身に自覚はないものの、完全に師匠ズに囲われて予約済み状態。
同年代のヒロイン候補たちとも距離は近くなっているものの、簡単にはいかなさそう。

主人公はレベルも上がらなければスキルもろくに覚えない最弱職だったために冒険者学校を追い出されてしまうも
とある事件を切欠に世界最強の女師匠たちに拾われ、修行に打ち込むことになった冒険者に憧れる少年。
お人好しで世間ズレしていない、純粋無垢でまっすぐな性格で、大の努力家。
また、ピンチの他者を助けるためならば、自分の命を二の次にして動ける勇気の持ち主でもある。
素直過ぎるがゆえに物事の裏が読めないところも（実際、師匠たちの邪な目論見にはまったく気付いていない）

ヒロインは兄貴肌なドラゴニア、計算高いハイエルフ、包容力のあるノーライフキング。
クールな勇者の末裔、勝気な孤児組リーダー、ツンツンなハーフ精霊、飄々とした大怪盗。
一番のお気に入りは世界で九人しかいないS級冒険者の一人、リュミドラ・ヘィルストーム。
理知的で上品な雰囲気を纏う、エルフらしい長い耳と金髪が特徴の料理上手なスレンダー美女。
世界最強種の一角であるハイエルフであり、魔法の一撃で数万の精鋭兵を消し飛ばす災害級魔導師。
冷静沈着な性格で計算高いが、恋愛経験皆無なため、無自覚な嫉妬心などに振り回されがち。
また、男の理想が高すぎな上、普段の言動が物騒だったりと、伴侶を望む一人の女性としてはかなり残念。
他の二人同様、とある事件を通して主人公に惚れこみ、理想の伴侶に育て上げようとしている。

現時点（六巻）においての評価はＣ。
あとがきで「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」に大きな影響を受けていると
書かれてある通り、所々で似た部分が見え隠れしていますが、十分別物の作品として楽しめるかと。
また、タイトルに入っている割に修羅場感や陰湿さは薄めなので安心して読み進めることができます。
キャラに関しては、情熱は人一倍持っているし、聖人と評してよいレベルで優しい良い子ではあるけれど
考えなしに突っ走ったり、行き遅れに目をつけられたりと、色々な意味で心配な主人公から目が離せません。
バックに世界最強の師匠たちが控えているとはいえ、彼女たちも残念なところが目立つので安心できませんし
そもそも彼女たちこそがある意味一番の敵というか彼を狙わんとする捕食者ですからね。
本筋は魔神崇拝者による勇者暗殺計画を覚醒した勇者と協力して退けることに成功した主人公。
しかしそのせいで勇者の結婚が早まり、彼女の結婚相手を決める武闘大会が開催されることになって…？