最弱無能が玉座へ至る   坂石遊作(HJ文庫)



最弱無能が最強へと変貌する学園異能ファンタジーストーリー。
大枠としては学園異能バトルものですね。最弱の主人公が最強の異能に目覚め、成り上がる物語です。
人間が多彩な異能を持ち、様々な種族と共存しているという世界観なので派手さ、華やかさも申し分なし。
主人公の異能は完全に他者に依存しているというか、一人ではどうしようもないものではありますが
逆を言えば本編中に複数のヒロインたちと親しくなることが確定している設定とも言えるのがグッド。
主とした亜人次第で発揮する能力が変わるというのもギミックとして中々に面白いですし。
ラブコメ面は関わった各種族の女の子に続々とフラグが立っていく主人公ですが、さて。

主人公は十五歳になっても何の能力も使えなかったため、落ちこぼれとして学校でもいじめられる対象だったが
クレナの眷属になったことで「どんな亜人の特性にも適応し、眷属の身でありながら主以上の力を発揮する」
という最強の眷属の異能に目覚め、各種族からアプローチされることになった少年。
目締めで忍耐強く、自身の弱さをきちんと認めることができる理性と心の強さの持ち主。
ただ、落ちこぼれと罵られ、見下され続けてきたがゆえに自己評価がやたらと低いところがある。
今まで妹を除いてろくに異性と接していなかったことから、苦手意識こそないものの、色恋に耐性が殆どない。

ヒロインは天真爛漫な吸血鬼、マイペースな虎獣人、天真爛漫な悪魔、天使眷属の級友。
サブにブラコンな剣士妹、使命感強き護衛娘。
あと二巻で理知的な狐獣人や妖艶な兎獣人、三巻で根暗系悪魔にフラグが立つもゲストヒロイン扱い?
一番のお気に入りは学園でもトップクラスの戦闘能力を持つ虎獣人の同級生、アイナ=フェイリスタン。
長身痩躯、赤みがかかった茶色の鋭い瞳、左右を黒いリボンで結んでいる長い金髪。
そして、獣人種族特有の可愛らしい虎の耳と尻尾が特徴的な美少女。
誰に対してもいつも無機的に堂々としたマイペースで、口調も淡々としている。
家柄は普通だが実力があるため、学園の獣人の間では崇拝されており、実質トップ扱い。

現時点(四巻)においての評価はC。
極論、主人公の異能は他者頼りでしかないわけですが、だからこそ借り物の力に驕らず、常に思考を止めず
戦いに臨み、そして誠実にヒロインたちと絆を深めていく姿は王道の成り上がり物語の主役として文句なし。
内容自体も、決闘での勝利からの周囲の目の変化、わかりやすい悪との対峙など王道の構成で読み易いですし
主となる(候補含む)ヒロインたちも嫌味のない可愛らしさに溢れているのがいいですね。
本筋は王都で開催されたタッグ制の武闘大会で過激派天使の陰謀を粉砕。