触手魔術師の成り上がり 飯田栄静(講談社ラノベ文庫)
歴史の波と触手はうねり、運命の糸と触手が絡む異色な触手ファンタジーストーリー。
女子のみが通う魔術学園に編入する主人公。ラノベではもはやお約束とも言うべき設定ではありますが
作品の売りとなる得意魔術が「触手魔術」というのはいくらなんでもロック過ぎである。
女の子と触手の絡みによるエロ展開をやるためにしか見えないですし、実際、日常パートでも戦闘パートでも
ヒロインたちにセクハラしまくりで客観的な絵面(当然挿絵も)が酷いことになっています。
ラブコメ面は今のところ進展なし。フラグが立っているヒロインは複数いるようですが…
主人公は女子のみが通うワインバーズ王立魔術学園に、表向きは学園の共学化のためのモデルケースとして
裏の目的は禁じられた違法魔術に関する、学園長直轄の調査のために編入することになった少年。
物腰穏やかでやや軽薄ではあるものの、人懐っこくお人好しでどこか間の抜けたところの性格だが
超のつく触手馬鹿であり、触手があればなんとでもなるという考え方が根本にあるがために
暴走時のやらかしを除けば触手で女の子を辱めることを欠片も悪いことだと思わず、反省もしない問題児。
幼少時に二度も自分の命を救ってくれた触手モンスターの存在が切欠となり、心優しい触手魔術師に
なることを目指していて、それゆえに戦いや他者を傷つけること、痛い思いをすることを嫌っている。
ヒロインは頑張り屋な三女、クールな次女、高飛車な優等生、堅物ポンコツな長女、からかい好きな生徒会長。
一番のお気に入りはヘインズビー侯爵家の次女にして主人公のひとつ上の先輩、グレタ・ヘインズビー。
翠の瞳に、シルバーブロンドをショートボブに切り揃え、右目を前髪で隠しているのが特徴的な美少女。
普段は感情をあまり表に出さず、不機嫌そうな顔つきをし、声も抑揚がなく単調とクールな態度だが
内心では妹のことを大切に思っており、彼女を守るためであれば嫌われることをも厭わない。
現時点(二巻)においての評価はC。
正直、触手の活躍を前面に押し出したいがためにその他の事を全部置き去りにしている感があるので
そこをスルーできるかどうかが評価の分かれ目かと。個人的にはマイナス点としてやや強く目についた印象。
コメディ一色ならともかく、シリアスを混ぜ込む以上触手で全部解決ってのは無理があり過ぎなわけで。
その煽りを一身に受けているのが主人公ですね。犯罪調査のための助っ人として呼ばれたという設定なのに
魔力暴走させるわ調査能力も低いわと「なんで呼ばれたんだコイツ」としか言いようがないですし
公衆の面前で女子(しかも貴族)を触手で辱めておきながら公的に咎められることもないとか…
触手への信念だけは感心できますが、他が作者の贔屓だけで構成されているようにしか見えないのが残念。
ヒロインたちは可愛いですし、触手に絡まれる時のエロさは申し分ないんですけどね。
本筋は一巻で違法魔術事件を解決し、二巻では触手ドラゴンを撃破するなど功績をあげていく主人公ですが…