モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣)   谷春慶(このライトノベルがすごい!文庫)



女の子を口説かずにはいられない病気を持つ少年が、ひょんなことから世界を救う戦いに身を投じる物語。
最初の頃はラブコメと事件解決が半々くらいの割合だったのですが、徐々にシリアスに傾いていきます。
どんな時でも病気な主人公の面白言動が上手いこと深刻さを中和してはいるのですが。
そんな彼の、本心とは裏腹に女性を口説きまくる姿が滑稽であり可哀想であり…
ヒロインに関しては、性格的に極端な娘が多いのが特徴でしょうか。
暴力を振るう娘が多いのはマイナスなのですが、主人公が自業自得すぎるためにここは仕方ないかなと。
ラストは世界は救ったけど、ヒロインを一人に絞れないので騒がしい日常はまだまだ続くよエンド。

主人公は女の子を口説かずにはいられないという病気を患っている少年。
性別が女であるならば、年齢(幼女でも老婆でも)や種族(猫でも人外でも)を問わず
また、コントロールは不可であり、いつ何時発症するのかすらわからない。
なお、発症中であっても本人の意識は残っているため、常に拷問を受け続けているようなものだったりする。
ただ、病気人格も本人も女の子が大事である、という一点においては共通しており
目の前の女の子のためなら平気で命を賭けることができる。ある意味究極のフェミニスト。
ちなみに、外見は爽やか風イケメンであるため、面識のない相手にはかなりの確率でモテる。

ヒロインはドSな相棒、ツンデレ元カノ、ヤンデレ元カノ、クール幼馴染、高飛車お嬢様風な相棒の上司、猫耳娘。
サブに、義母、義妹等。実母は流石にカウントしてはいけない。
一番のお気に入りは、眼鏡っ娘な幼なじみ、百瀬千夏。
いつもクールで無表情、人見知りで心のガードが固いため、友達は少なく、作るのも苦手。
主人公に対しては、幼少時に助けてもらったり、かと思えば騙されたりと、色々複雑な感情があるようで
普段は毒舌と無表情からのアイアンクローという容赦のない態度をとっている。
しかしその実、誰よりも彼のことを理解していて、心配していたりと健気な一面も。
ピブリオマニア一歩手前の読書家であり、雑学に詳しい。あと、こっそり胸が小さいことを気にしている模様。

評価はC。
主人公のキャラを許容できるかで評価が分かれる作品ですね、これは。
個人的には、病気を除いても、フェミニストが過ぎるところがどうも受け入れにくかったですし。
でもまあ良くも悪くも、主人公の病気という特性が物語の核として上手く動いていた作品だと思います。
大筋が片付いた状態で迎えた最終巻は何故か異世界話でしたが、締めはちゃんと大団円になっていたかと。
メイン級のヒロイン全員が活躍する構成で、正にボーナストラックといった感じでしたし。
後はやはり、世界の危機とかなしに、ひたすら修羅場ラブコメやってたほうが面白かったんじゃね?
というシナリオ構成の残念感をどうしても抱かざるを得ないのが……
とりあえず一番感動したのは、終盤でタマと千夏が地味にデレたことですね、間違いなく。