英雄教室の超越魔術士 月夜涙(MF文庫J)
無敵の姉と最強の妹。姉妹を統べる至高の魔術士が魔術学園で無双するバトルエンタメストーリー。
大枠としては魔族と戦う魔術士を育成する学園を舞台にした魔術(武器も使う)バトルものですね。
主人公は魔力量こそ凡人ではあるものの、頭脳と技量でそれを補うというスタイルで、いわゆる知識チート。
とはいえ、努力と研鑽の産物なので嫌味はないです。それに、結局最後は力押しっぽくなりますし…
主要キャラ三人(主人公と姉妹)が全員それぞれのベクトルで重いのは背景を考えれば、まあ、ご愛嬌?
ラブコメ面は最愛の義姉と義妹と共に生きることを決意した主人公ですが、さて。
主人公はかつて故郷である世界を救って命を散らし、別世界に転生した姉と再会することを望む天才魔術士。
魔力不足を至高の頭脳と技術で補う魔術の天才で、二つ名は「魔導教授」。
クールで理知的な性格で、頭脳と実力の自負からか、親しい相手以外には不敵な態度をとりがち。
その一方で、効率的とわかっていても罪なき他者の犠牲をよしとしないなど、情を捨てきれないところも。
また、義姉のそばにいるためだけに人並外れた努力を積み重ね、最強に並ぶ力を身に着け
果てには世界を渡る方法を見つけようとするなど、精神力の強靭さと性根の熱さは凄まじいの一言。
実はわりと根に持つタイプで、有言実行するタイプでもある。
ヒロインは天使な義姉、ブラコンな天才義妹、真面目な級友、聡明な美姫。
一番のお気に入りは主人公の小隊に所属する武の名門の落ちこぼれ、キラル・ネトグリフ。
身体能力強化魔術しか使えない自身の不器用さにコンプレックスを抱いており、自虐的な発言が多い。
真面目で質実剛健な性格をしており、名声に付随する広報活動などを面倒と考え、現場働きを望むタイプ。
現時点(二巻)においての評価はC。
一言で言えば、王道の俺TUEEEもの。異世界転生や諍いからの決闘などといったテンプレ要素も備えながら
ありきたりさを感じさせない細部の捻りと描写の丁寧さが読破欲を刺激してくれるのがいいですね。
キャラに関しては、世界を一度救ったことがあるという実績に違わず、確かな実力と精神力を兼ね備えつつも
義姉や義妹のため、という主人公のわかりやすい原動力と覚悟の決まりっぷりが格好いい。
ダブルヒロインである義姉のブレない弟愛も、義妹の病みブラコンっぷりも存在感抜群ですし。
本筋は最大の目的であった義姉との再会を果たし、その後に行われた魔族の討伐にも成功と幸先良しながら
義姉を救い、同時に滅びゆく世界を救う方法を探さなければならなかったりと、前途は多難。