鬼畜先生の博愛教育 藤川恵蔵(MF文庫J)
目には目を、歯には歯を。異能で荒れる学園を異能でねじ伏せ更生させる学園教師物語。
大枠としては教官ものですね。ただ、現場で実働している教師は主人公一人だけというのは珍しい。
完全オンライン授業化とか、確かに未来じゃそうなっていそうだし、それなら現場教師はいりませんわな。
生徒全員が異能者という設定なので、ガワはファンタジー要素バリバリなのに妙なリアル感である。
内容は、とにかく主人公の教育(?)っぷりが愉快痛快。この手の作品は大人が子供の問題を解決する
という形をとる都合上、どうしても世間体や人間関係が強く働くため、過程でもどかしい思いをするのが常ですが
当作品の主人公は力業のゴリ押しで問題を解決していくのでスッキリとした爽快感に溢れています。
ラブコメ面は今のところ進展なし。フラグが成立しているヒロインは複数いるようですが…
主人公は異能者を管理・教育するために作られた教育施設「学園島タルタロス」に新任教師として赴任した青年。
教師という仕事に対する意欲が強く、自分では頭が良い(学校の成績が優秀だったから)と思っているが
実際は短気で手が早く、短絡的なバカであり、問題解決のための手段も選ばない鬼畜。
人に評価されて点数つけられるのも、人を評価して点数つけるのも嫌い。他人の目を気にして生活するのは大嫌い。
それゆえに、全ての生徒を認める、楽しい、良い学校を作りたいと思っている。
色恋に関しては鋼の精神の持ち主で、その強度は異能による強制発情を耐えきるほど。
ヒロインは幼馴染な後輩、薄幸の関西弁娘、引きこもりハッカー、傍若無人な校長。
一番のお気に入りは異性を発情させる異能「誘惑政策」を持つ桃髪巨乳関西弁美少女、不知火焔。
やや天然でおっとりしたところこそあるものの、常識的で(恨みのない相手には)心優しい性格だが
戦闘力皆無のEランクと判定され、役立たずと散々周囲に言われ、親にも捨てられて親戚たらい回しにされ
男からはエロい目で見られ、女からはイジメられるという人生をおくってきたことから、ネガティブ度が高い。
本来の異能は治癒能力で、男を発情させるのは健康な男を無理やり回復させることで性欲が増すため。
現時点(一巻)においての評価はC。
異能の力を持て余している生徒達の問題に真正面から突っ込んでいき、豪快な力業で問題を解決していく
主人公が頼り甲斐抜群。まあ、やり方を選ばないというだけで、鬼畜というよりは脳筋なだけな気がしますが。
自身の正義を押し付けるのではなく、きちんと相手のためになる言葉をかける優しさを見せてくれるのもグッド。
ヒロインたちをはじめとした面々もキャラが立ちまくっていて賑やかですし、掛け合いも実に楽しそう。
正しくライトノベルしているというか、古き良き王道を思い出させてくれる作風が良い感じです。
本筋は問題児(しかも異能持ち)だらけの学校での教師生活が始まるも、不幸を振りまかんとする組織の暗躍。
腐敗気味な治安維持組織の存在など、教師業務以外の問題も多々あり、前途は多難。