小悪魔ティーリと救世主!? 衣笠彰梧(MF文庫J)
同居人は悪魔と天使! なドタバタ居候ラブコメ。
作者さんと挿絵さんが人気ゲームを製作したクリエイターコンビなため、安定感は抜群。
読みやすい文章と入り込みやすい世界観、綺麗な挿絵ととっつきやすさもバッチリ。
ただ、逆を言えばそれだけしかアピールポイントがないわけですが。
ラストは平穏な日々が戻ってきて、恋愛面では天使娘のエリーゼと結ばれてのハッピーエンド。
メインヒロインのティーリはあくまで守るべき家族という妹ポジションで落ち着いた模様。
主人公は救世主にも大悪党にもなれる素質を持った少年。
いつも不機嫌な顔をしていて、あまり感情を表に出さない。
更には、喧嘩をよくするために周囲からは不良扱いされている。なお、喧嘩そのものはかなり強い。
とはいえ、自分から喧嘩を売ることこそないものの、応戦はするしガンを飛ばしたりは普通にするので
カテゴリ的には不良といって差し支えはなく、本人も否定はしていない。
幼い頃に母親に捨てられた過去があり、そのため人を見捨てるということを嫌う。
短気で乱暴ではあるが、社会的ルールは遵守し、さりげなく人を思いやる心も持っている。
要するに天邪鬼でありツンデレ。あと根っからの主夫気質でもある。
ヒロインは小悪魔、金髪巨乳天使、人気者なクラスメート。
二巻にて金髪天使の妹、三巻で謎の転校生などが出てきたものの、結局サブの位置のまま終了。
一番のお気に入りは人気者の美少女、荒崎桃恵。
主人公のクラスメートであり、彼とは正反対に周囲の人たちから好かれている。
癒し系の黒髪少女で、日本の美少女とは彼女の事を指すのだろうと主人公は認識しているほど。
本人の性格は、やや先走りやすいところこそあるものの、絵に描いたような良い娘。
主人公とは、入学式の時に不良に絡まれているところを助けてもらってからの縁。
評価はE。
全体的な完成度はそれなりに高いものの、キャラ作りと大筋の流れでかなり失敗している印象の作品でした。
特にメインヒロインであるティーリが前半はウザくて後半は影が薄いと、何しにいるの?感が…
ヒロイン以外のキャラは、皆上から目線で主人公に選択肢を押し付けてるだけで不快感が高く
最後の締めも、突然の主人公に味方してくれる権力者の登場で問題解決とご都合主義が強すぎましたし。
おかげで、どれだけ主人公が自分の意思を見せても、それを天使や悪魔が「許容してやる」風にしかならず
爽快感が得られず、成長物語にもまったく見えずでモヤモヤだけが残るという。未消化伏線も多いですし。
お気に入りヒロインの荒崎さんの扱いにいたっては、振られるイベントどころか終盤は出番すらなかったですし。
告白までしたのに、彼女の存在意義はなんだったのかと。