世界最高の賢者は時の牢獄で最強を超える   三原みつき(富士見ファンタジア文庫)



全ての俺TUEEEを過去にする! 偽りの世界でお姉さんたちと限界突破の最強ファンタジーストーリー。
大枠としては同世界(三百年後)転生ものですね。主人公は現代日本人ではなく、地元出身であり
転生先は自身のボツ魔術理論で成り立っている世界という実にご都合主義的な変化球っぷりですが。
内容はとにかく謳い文句通り、これぞ俺TUEEEだ! と全力で主張しているかのような主人公最強もの。
主人公は数十億年の修行の末に若返った体で転生した大賢者、敵はゲーム感覚で世界を操っている神々。
戦う理由は復讐と、ヒロインたちを守り、救うためというわかりやすさと設定の厨二っぷりも素晴らしい。
ラブコメ面は主人公に本命(転生前に義姉だった勇者)こそ存在しているものの、神を超えるために
大勢のギフト持ちから愛される必要があるため、お姉さんハーレム(現在二名)を築き上げる意欲満々。

主人公は神々によって時の牢獄に幽閉されるも、数十億年の修行の末、十二歳の姿で転生した大賢者。
絶望の渦中にあっても諦めない、決めたことを貫き通す絶対の意志力の持ち主。
長年の研鑽による自負もあり、常に余裕のある態度をとっているが、肉体年齢に引っ張られているためか
時折意図せず子供っぽいところを出したり、色恋沙汰には動揺を見せたりすることもしばしば。
四十六億年もゾンビ以外と交流せずにいたことと、社交的とは言えない生来の性格から
つい物事から一歩引いて他人事のように達観してしまうところがあり、他人の激しい感情を御するのが苦手。
また、元々は才能のない凡人であったがゆえに、他人の可能性を否定することが嫌い。
本質は筋金入りの研究者であり、自分の好きなことになると早口になるタイプ。

ヒロインは生徒会長、年上幼馴染、エルフ姫、ドMなエルフ騎士、傲岸不遜な王女。
一番のお気に入りはエルフたちが住まう森の小国エルブンハイムの第四王女、カティ・フィオーレ。
清楚な美貌と華奢な体躯、気品に満ちた物腰の、エルフの伝統衣装に身を包む美少女。
言動は丁寧かつお淑やかだが、自国とエルフの名誉回復という悲願のため、強くなることに貪欲な努力家。
戦闘スタイルは「二本の短槍を両手に物理と魔術で攻撃あるのみ!」で母国での呼び名は「強襲型お姫さま」。

現時点(二巻)においての評価はC。
肩書きは大賢者、精神年齢は数十億歳ということを考えると、老成&達観した性格なんだろうなと思いきや
学園生活では全然自重しないし、強くなるためとはいえハーレム築こうとしたりと、結構俗っぽさというか
若々しい活力に溢れていて、いい意味で予想を裏切るキャラになっているのが嬉しいところ。
ヒロインたちも(肉体年齢では)年上お姉さんばかりながら、守ってあげたい属性を兼ね備えているのがグッド。
ストーリーもハッキリとした勧善懲悪でスカッと爽快感抜群ですし、サクサク読み進められます。
本筋は二柱目の神を撃破し、遂に前世の義姉の転生体である勇者に出会うも、彼女は神の手下で…?