大魔法師の息子   大菩薩(オーバーラップ文庫)



魔法の研究機関が集う人工島にある魔法師養成学校を舞台にした、最強に育てられた新たな英雄の物語。
大枠としては学園異能バトルものですね。無能として家に捨てられた主人公が最強の義親に育てられた結果
力を手にして学園でめきめきと頭角を現していく、という成り上がり要素がメインと言ってよいかと。
ただ、主人公は元家族への復讐心こそある程度消化してはいるものの、わだかまりは残っているようですし
周囲の面々も色々面倒を背負っていたり、外部から犯罪組織が襲撃してきたりとシリアス度は結構濃い目。
ラブコメ面は今のところ進展なし。誰がヒロインになっても息子馬鹿の義母が騒ぎそうですがw

主人公は魔法の名門「焔魔」家に生まれながらも、無属性だったため無能して捨てられ
その後、かつて世界に魔法をもたらした大魔法師アリアに拾われ、義息子となって教育を受けた少年。
育ての親にして師匠であるアリアに憧れ、強さを求めているため少し戦闘狂気質なところがあり
戦闘は目的を達成する手段であり、自身の進歩を実感できる最高の娯楽であると考えている。
アリアに拾われた当時はこの世全てに絶望し、敵愾心だけが人一倍強く、己以外は信じられない
という儚くも繊細で壊れやすいガラス細工のようだったが、現在は心に一本芯を定めた強い心の持ち主。
かなり端正な顔立ちな上、物静かでクールなため女性受けはいいのだが、基本自分のことには無頓着。
長年生活力皆無な義母と樹海で二人暮らしを続けてきたがゆえに家事能力は高いが、世間知らず。

ヒロインは毒舌家な級友、大魔法師な育ての親、気弱な級友。
あと、レギュラー兼ヒロイン昇格候補として穏やかな生徒会長、ボーイッシュな級友、元姉や元妹なども。
一番のお気に入りは内部生に絡まれていたところを主人公に助けられた縁で親しくなった級友、日暮楓。
おさげのように垂らした薄緑色の髪が特徴の、平均的な体躯の美少女。
性根は善性で穏やかながらも、気弱でおどおどとした小動物っぽい印象がある。

現時点(一巻)においての評価はC。
幼い頃に家から捨てられ、辺鄙な山奥で大魔法師の義母に育てられたがために外の世界を知らず。
それゆえに常識がズレまくっており、しかし実力は一級品と誤解を招き敵を作りまくりそうな主人公が
理解ある仲間と巡り会い、知己を得て楽しそうに学園生活をおくる姿にほっこりできます。
勿論、命のやり取りになる危険な事件が起こったり、過去の因縁が絡んできたりする展開もありますが
どこまでも性根がまっすぐで、魔法師としても強い主人公は見ていて安心感&爽快感抜群かと。
そんな彼に惹かれていくヒロインたちも年頃の乙女らしい愛らしさ十分ですしね。
本筋は入学早々の決闘騒ぎや犯罪組織による学園襲撃事件で力を見せ、名を上げる主人公ですが
無属性への差別意識、元家族との確執、暗躍する凶悪な犯罪組織など、前途は多難。