落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国 舞阪洸(MF文庫J)
異世界にやってきた戦国時代出身の主人公が魔女の国で勇躍する戦記ファンタジーストーリー。
分類的には戦記ものになりますが、力押し主体の世界観なので戦争パートは結構ご都合主義が強いです。
まあ、敵味方の人数比を考えると、敵が有能だったり強力すぎたりするとすぐ詰むので仕方ないですが。
ただ、主人公サイドの主力が魔女固有の魔法なので、それらを活かした戦術は見ていて結構面白いかと。
難点は、登場人物が多すぎて名前とキャラを一致させて覚えるのが難しすぎるところですね。
ラストは約二年に及ぶ戦いの末、人と魔女が共に暮らせる世界への道筋を示した主人公は
一人の魔女と共に元の世界へ帰還し、異世界の経験をもとに天下統一への道を歩んでいくのだったエンド。
ラブコメ面はレラを南蛮人の側室(後に世継ぎの母となる)をという形で嫁にして終了。
主人公は異世界の魔女の国へ落ちてきた、記憶喪失の青年(正体は織田信長)。
記憶の喪失や魔女の存在に慌てることなく、全てをあるがままを受け入れるなど、器の大きさは規格外。
また、かなりのオープンスケベであり、その邪念は相手が魔女であっても遠慮なし。
理解力は低めだが、本質を掴む能力と発想力、そして状況適応力に優れており、個人戦闘力もかなり高い。
戦術や戦略、内政に商売、人を使うことにも優れた能力を持っているなど、その才覚は正に万能。
ヒロインは魔女の長、男嫌いの魔女、怪力魔女、呪符使いの魔女。
この四人をメイン格にしつつも、他多数の魔女が巻を経るごとに自陣営へと続々と参加。
一番のお気に入りは呪符を使った魔法の使い手、レラ・ライラ・ハインドラ。
理知的で冷静な性格。知的好奇心の強さから、頻繁に主人公のいた世界に興味を示している。
一族の中でもっとも頭でっかち、かつ色恋沙汰に縁遠く、お色気方面に疎い存在と周囲から思われており
変なところで言葉を区切るかなり個性的な喋り方が特徴。
評価はB。
魔法という異能を活かした知略で大軍を翻弄し、撃破する様は実に爽快感がありました。
ただ、国同士の戦争がある世界観で、今まで力押しか篭城ばかりだったというのは流石に無理があった気が。
そういう意味では、戦記ものというよりはもう全方面主人公無双の物語として認識して読むのが無難かも?
本筋は結末だけ見れば綺麗な着地になっていたとは思いますが、他の部分で消化不良感が強かった印象。
特に最終巻における最後の戦いは戦いにすらならず決着し、その後の展開はほぼダイジェスト形式。
魔女側のその後も語られないまま終了と、どうにも盛り上がりに欠ける感じでしたし…
元の世界に帰還した主人公は異世界の経験を活かして史実とは異なる天下統一を果たしているので
こっちはいいんですけどね。統一時点でまだ三十代だったようですし、再び異世界へ帰還するアフターとか…