この男子校には俺以外女子しかいない 塀流通留(MF文庫J)
女性アレルギーな少年が男子校で男装女子たちとおくる、学園ラブコメストーリー。
男子校だと思っていたら、実は主人公以外は全員女性だった! という設定のインパクトは凄いのですが
正直それだけというか、途中からどんどん情報共有が進んでしまうので肩透かしと言わざるを得ない。
主人公だけが秘密を知っているという特別感、秘密を周囲に隠し通さなければいけないという緊迫感。
そして、ギャップ効果による可愛らしさ。これらが男装ヒロインの魅力の源泉なわけで…
それらの大半をあっさりと消してしまうのでは、ただの学園ラブコメと何が違うのかって話になるんですよね。
男装バレ=裸を目撃する=お色気シーンというお約束も三連発ではありがたみが薄いですし。
ラブコメ面は好きになった娘には避けられ、振った娘には優しくされ、と揺れる主人公の男心ですが、さて。
主人公は特殊な女性アレルギーを患っているがゆえに男子校(ではなかった)に入学した高校生の少年。
恋愛対象になりえる女性に一定時間触れると理性と本能が切り離され、人格が入れ替わり、息をするように
女性を口説き始めてしまうという女性アレルギー(正式名将は限定的A10神経過敏症候群)を持っている。
性根は誠実であり、さりげない優しさの持ち主でもあるのだが、基本的にヘタレ。
中学の頃、女性アレルギーの暴走が原因で当時好きだった女子や友達を失い、孤立したことがある。
ヒロインは猪突猛進な級友、ポンコツクールな級友、完璧超人な級友。
一番のお気に入りは主人公が通う尾ノ上男子高校の理事長の孫であるお嬢様、金ヶ崎千尋。
ちょっと元気なお姫様といった印象を受ける、守ってあげたくなる系の、少し浮世離れしていそうな美少女。
容姿端麗、文武両道、家は金持ち、にも関わらず傲慢さなどひとかけらもない優しく温厚な性格。
と、絵に描いたような完璧超人で、男装時の女性からの人気は当然のように高いが
高校入学以前、祖父に騙されて女王様キャラを演じていたことがあったりと、結構間が抜けている面も。
また、学校ではビシッとキメているが、実は服に拘りはなく、基本的に家ではジャージだったりする。
一巻ラストで自身の母と主人公の父が再婚し、義理の家族に。
現時点(一巻)においての評価はC。
主人公の誰彼構わず女子を口説いてしまう女性アレルギーという設定は面白いと思うのですが…
この設定なら異性に免疫のない女子が集まるお嬢様学校や元女子校とかが舞台のほうがよかった気が。
あくまで男装女子を推したいというなら、もっと秘匿性を高めればよかったと思いますし。
あるいは元からツッコミどころ満載の作品なのだから、もっとぶっ飛んだ設定に振り切ってもよかった。
主人公の曖昧な態度を筆頭にどこか中途半端というか、シリアス部分が悪目立ちしている感が。
女子としての姿を公然と見せてからのヒロインたちの可愛さは申し分ないんですけどね。
本筋は一巻終了時点で既に事実上男装に意味がなくなっているんですが、今後どうなるのだろうか。