白魔法クラスの大忍術師   藤木わしろ(MF文庫J)



魔法を忍術で圧倒する、魔法学園暗躍ピカレスク・ロマンファンタジーストーリー。
魔法使いだらけの学園に忍者が潜入、というミスマッチ極まりない設定がとにかく目を惹きます。
昨今の創作でよく見かける「派手に目立ってばかりで全然忍んでいないだろ」な忍者(笑)とは違い
情報戦を重視し、目立たないように陰謀暗躍を旨とするこの作品の主人公は実に忍者らしくて良い感じ。
勿論表だって活躍しないというだけで、派手な忍術を使用するシーンはちゃんと用意されているのですが。
ラブコメ面は一巻終了時点でフラグがひとつ成立。お嫁さん探しという大義名分があるので今後に期待。
六つのクラスを転々とすると考えると、最低でも六人のヒロインが登場しそう?

主人公は魔法学園への潜入任務を言い渡された名門一族・御影家の次期当主にして凄腕のニンジャ少年。
まだ若いにも関わらず野心のない枯れた性格をしており、やる気もあまりなく、呑気。
また、他者への配慮こそできるものの、普段は誰に対しても飄々と不躾で人を喰ったような言動をとっている。
その一方で、仕事となれば冷徹で容赦はなく、目的遂行のためであれば悪事を働くことも厭わない。
約束や契約の類は絶対に何があろうと守る主義で、物事における優先順位も一番高い。

ヒロインは正義感の強い白魔法士。昇格候補に人懐っこい黒魔法士、人見知りな召喚士など。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(一巻)においての評価はC。
全ての魔法士は忍者という存在を見敵必殺レベルで敵視している、という物騒な世界観であるにもかかわらず
敵地ともいえる魔法学園で己の正体を隠しながら飄々と生活をおくりつつも、仕事となれば雰囲気一変。
影に徹し、目的遂行の為には悪事も厭わないけれど、約束は違えない主人公の筋の通った生き方が格好いい。
そんな彼の二面性に惹かれていくヒロインの可愛らしさと、対を成す表舞台での活躍も申し分ないですしね。
本筋は嫁探しと禁忌魔法「大罪法術」の実行を目論んでいる魔法士探し、というラブコメとシリアスの
二本軸で進んでいくようですが、主人公のクラス転々も併せて中々先が読めない展開にワクワクします。