デュアル・クリード 津田彷徨(LINE文庫エッジ)
己の信条(クリード)のもとに知略と力をぶつけ合う、異世界に召喚された英雄たちによる国盗り合戦物語。
大枠としては異世界召喚ものですね。テーマは「異世界で偉人を召還して三国志を描く」とのことで
異世界が舞台でありながらも、登場人物の大半が歴史上の偉人であるためとっつきやすいです。
主人公は軍師タイプ、メインヒロインの鈴森皐月は科学者の卵で現代科学知識を活かしたアイテム作りが可能。
と、直接戦闘力には欠けるものの、その他の部分で有能であるため偉人たちの中でも埋没しませんし。
勿論戦場における最大の華である英雄たちによる大暴れも申し分のない迫力ですし、読み応えは抜群。
ラブコメ面は今のところ進展なし。
主人公は女神に導かれて見たことのない異世界へと召喚され、内乱真っ只中のクロノス王国に
再び平穏を取り戻すために軍師として戦乱に参加することになった異邦人の青年。
異世界では亮とだけ名乗っているが、その正体は後に蜀の筆頭軍師となるはずだった諸葛孔明その人。
長い黒髪に華奢な体型という外見通り運動能力には欠けるが、その智謀は他の追随を許さない。
物腰穏やかで礼節をわきまえた性格をしており、味方を守り、勝利を捧げるためならば骨身を惜しまないが
その一方で敵には容赦がなく、また、策の為に自身を危険にさらすことを厭わないところも。
取引をする時は、相手が誰であっても条件を付けるという取り決めを自身に定めている。
ヒロインは好奇心旺盛な科学者。サブに聡明な第一王女や思い込みの強い魔法士隊長なども。
一番のお気に入りは主人公と共に召喚された古都大学の理学部所属の科学者、鈴森皐月。
絹のように艶やかな茶色髪、スラリとした肢体、そして知性の光を灯す瞳と整った顔立ちが目を惹く眼鏡美人。
科学者らしく知識欲が大きく、好奇心が刺激されると他の事が目に入らなくなってしまうタイプ。
常に淡々とした口調な上、誰に対してもマイペースな性格なため内心が読み取りにくいところがあるが
女性としての羞恥心は一応持ち合わせている。ただしその感性はかなりズレている模様。
紛れもなく天才と評していい頭脳の持ち主だが、生活能力やコミュ力、女子力はかなり低い。
現時点(一巻)においての評価はC。
勝利のために冴え渡る知略、特殊な異能を持つ歴史上の英雄たちのぶつかり合い、現代知識の活躍。
と、あらゆる戦記ものの良いところ取りをし、それでいて全てを上手く魅せている手腕はお見事の一言。
偉人たちの生前のエピソードをネタにする描写がちょくちょく入っているのも楽しいですね。
あくまでこの作品はラノベなのでフィクション要素は強いですが、歴史好きの読者ならば楽しめるかと。
キャラに関しては、その名に恥じぬ堂々とした名軍師っぷりを見せてくれる主人公が格好いい。
メインヒロインの皐月もマッドサイエンティストが目立ちますが、その頭脳は頼りになりますしね。
本筋は一巻終了時点で内乱を鎮め、大国の侵攻を跳ね返すも平和な世界はまだまだ遠そう。