世話好きで可愛いJK3姉妹だったら、おうちで甘えてもいいですか?
はむばね(富士見ファンタジア文庫)
拾った美少女三姉妹との同居生活から灰色の毎日が彩り始めるくすぐったい日常ラブコメディストーリー。
大枠としては同居ものですね。神待ちの高二、高一、中三の三姉妹を拾うアラサーのサラリーマン。
というスタートの構図こそ色々危なすぎではありますが、中身は人の温かさに飢えていた青年と少女たちが
一つ屋根の下で交流を重ね、徐々に家族の形を作っていくハートフルホームコメディに仕上がっています。
勿論、同居相手が年頃の美少女である以上、肌色成分多めなサービスイベントも発生したりしますが。
ラストは三姉妹の居場所となった青年の日常は今日も続いていくのだったエンド。
ラブコメ的には主人公が三姉妹が巣立つまでは自分の恋愛は後回しと考えているため進展なしで終了。
主人公はある日酔った勢いで拾った家出中の三姉妹と同居生活をおくることになった二十七歳の社畜。
極度の面倒くさがり屋かつ事なかれ主義で小心者だが、決して冷たい人間というわけではなく
気の小ささゆえに困っている人を見捨てられず、断るためのコミュニケーションや、その結果生じるかもしれない
人間関係の変化が面倒、という理由で基本的に人の頼みを断るということもしない。
実はかなり重度のオタクだが、中学時代かなりのオタク弄りをされたことが原因で、周囲には趣味を隠している。
色恋については自己評価の低さからか、自分を好いている女性はいないと決めつけている節があり
それゆえに女心には鈍感で、相手の好意からのアプローチを見当違いの方向に解釈しがちなところも。
ヒロインはしっかり者な長女、自称からかい上手な次女、大人びたい三女、クールな後輩。
一番のお気に入りは主人公の会社の同僚にして学生時代からの二つ下の後輩、桃井貫奈。
キッチリと整えられたやや茶色がかったミディアムヘアと、細いフレームの眼鏡が特徴的な美人で
出来る女感をバリバリに身に纏っている外見通り、チームのエース級に成長しつつある才女。
高校の頃からずっと主人公のことが好きで、その後も大学、会社と彼を追いかけ続けるほどに一途だが
同時に、十年近くずっと関係を進展させることができなかったヘタレでもある。そしてチョロい。
評価はC。
広い家に一人暮らしの主人公、そこに転がり込んできたわけあり家出少女たち、という設定だけを見ると
重い展開が待っているのかと身構えてしまいますが、不愉快な悪人が登場したり深刻な不幸が降りかかってくる
ということもないので、ほのぼのとした日常風景をほぼストレスフリーで楽しむことができます。
キャラに関しては、自己評価低めながらもなんだかんだでイザとなれば男気のある主人公が好感度大。
ヒロインたちも根っからの良い娘揃いな上、微笑ましさが前面に出ているので不快感を一切覚えませんし。
本筋は主役回がまだ回ってきていないヒロインがいる状態での完結と、明らかな打ち切り。
まあ、大きな問題は一巻時点で解決しているので消化不良感はそれほど強くはなかったですが…
まだまだ話を続けられる余地はあっただけに、残念無念。今後過熱したであろうラブコメ模様も見たかったですし。