世界最強の復讐神官   来生直紀(富士見ファンタジア文庫)



伝説の勇者たちを駆逐する、魔王の能力を受け継いだ最強で最凶の復讐神官の復讐譚。
最愛の妹を無残に殺された主人公が元凶である勇者たちを復讐のために駆逐していく、というのが大筋ですが
勇者をはじめとした敵対者は揃って救いようのない外道やクズばかりなので爽快感は抜群。
ただ、メインヒロインである魔王の娘をはじめとした味方となる面子は基本的に足手纏いであり
事実上主人公の孤軍奮闘であるため、すんなりと進みそうにないのが不安な点でしょうか。
ラブコメ面は今のところ進展なし。というか主人公が恋愛できるメンタル状態ではないですしね…

主人公は魔王を討伐した勇者たちに裏切られ、最愛の妹を殺されて復讐を誓った天才神官。
魔王の蘇生を試みた結果、身体が魔王との融合を果たしてしまい、魔王の能力を受け継いだ。
真面目で敬虔、慈愛の心に溢れた好青年で、周囲からは逸材と称されるほどの天才神官だったが
勇者の非道と裏切りに加え、人間の醜さを目の当たりにして、復讐に狂う魔王と化した。
敵と定めた相手には冷徹で容赦がなく、残虐な行為も厭わないが、勇者の同類にはなりたくない
という理由から、人間であっても無関係な者を巻き込まないよう気にかけている。

ヒロインは献身的な魔王の娘、清楚可憐な聖女、義理堅き獣人剣士。
一番のお気に入りは王都の大神殿に仕える神の恩寵を賜りし聖女、マリアージュ・クライスト。
長い金髪に白磁のような肌、そして華奢でありながらもふくよかな立体感に富んだ肢体を有する美少女。
人を救いたいと真摯に願い、他者のために涙を流すことができる優しさを持つ、生来の聖女気質の持ち主。
かつて天才神官として活躍していた主人公に淡い恋心を抱いているが、色恋には初心。

現時点(二巻)においての評価はC。
因果応報とばかりに圧倒的な力で悪人たちを駆逐していく主人公の姿はカタルシスに溢れています。
敵には一切の躊躇も情けもなく、復讐方法にエロ要素を混ぜるなどの余計な回り道もないので
読後感もサッパリしていますしね。勿論テーマが復讐である以上、全体的な読み味は重いですが。
あと、最終的には復讐を完遂するであろう主人公の道の果てに救いがあるのかも気になるところですね。
鍵はやはりヒロインたちが彼が癒やすことができるかどうかでしょうが…
本筋は七人の勇者の内二人目の復讐完了。残るターゲットは五人ですが、はたして。