クロハルメイカーズ 砂義出雲(ガガガ文庫)
不安と葛藤を超え、創作の道を突き進む、痛くも恥ずかしい、むき出しの青春群像劇。
大枠としては特殊部活動ものですね。サブカルチャーを軸にした創作論がテーマになっている模様。
創作活動そのものに焦点が当てることで成長を描いている学園青春物語といった感じでしょうか。
しかしこの作品、プロアマ問わずクリエイターには胸にグサグサ来るだろうなぁ。
なお、サブカル描写が結構ディープなので予備知識なしだと置いてきぼりになりますねこれ。
ラストは黒歴史な青春最後の創作を部活メンバー全員で作り上げ、お別れエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインの比香里に振られた後、幼馴染の菜絵と結ばれて終了。
主人公は自称・ハイパー・クリエイト・プロデューサーな創造部部員。
自信過剰でプライドが高く、ビックマウスで自己顕示欲が強いが、それらは全て虚勢であり
実際はナイーブであるため打たれ弱く、割とすぐに死にたくなったりと単純で浮き沈みが両極端。
現実逃避力が高く、嫌なことは全部後回しにするタイプで、強い者には弱くて弱い者には強い。
好きなことは人に褒められること、頭良く見られること。苦手なのはメンタル攻撃。
趣味は新作アニメや映画の批評、ネットサーフィン(匿名で安全圏から人を叩くこと)
中学生の時、とあるライトノベルの新人賞で一次選考まで通ったことがあるのが自慢。
ヒロインは世間知らずお嬢様、ツンデレイラストレーター幼馴染。
サブに残念美人なCGクリエイター、いじられキャラな底辺ユーチューバー、中二病ロリネット声優。
一番のお気に入りは真性サブカル女子なツンデレイラストレーター、楠瀬菜絵。
折れそうなほどの細い四肢(胸も小さい)に、短く切り揃えられた黒い前髪が特徴の美少女で
他者に理解や迎合を求めることなく、作品をそのまま愛する真性のサブカル女子。
いつもクールかつ不愛想な態度で的確に人の心を折る発言を冷たく重い言葉で繰り出すが
それは本心を隠そうと思う反動が露骨に出ているだけで、実際は素直になれないツンデレ気質。
趣味はマイナー漫画鑑賞、音楽鑑賞(鬱ロックが好き)、球体関節人形作り、お風呂。
自分の絵を初めて認めてくれた主人公のために絵を描こうと幼い頃から思い続けている。
評価はC。
クセの強い部員たちが集まっている部活の話ということで、メインは部員同士の掛け合い。
この手の作品は主人公が苦労人ポジションにつくのがお約束ですが、この作品の場合は主人公も結構
尖っている(メンタルは弱いですが)ため、皆がある意味同レベルな賑やか会話が楽しめました。
その上で正に青春! といった展開が発生するのもギャップがあってよかったですし。
本筋は少年少女たちのクソまみれになりながらももがき続ける青春物語が見事に描かれていたと思います。
正直読んでいて己を振り返ってしまって胸が痛くなることもありましたが、オチの綺麗さに救われました。