このあと滅茶苦茶ラブコメした   春日部タケル(角川スニーカー文庫)



願望だだ漏れでラブコメまみれな学園ラブコメディストーリー。
世界にラブコメ魔法が発生し、特定の人の願望が現実化するようになった世界を舞台にした学園ラブコメです。
魔法と言う都合の良い舞台装置が存在しているため、次々とラブコメイベントが発生するわけですが
肝心の主人公が二次元にしか興味がなく、鈍感なので安定した読み味を楽しむことができます。
超常的な力が働いているラブコメということで、お約束通りお色気イベントも発生するので目の保養もバッチリ。
ヒロイン側はご愁傷さまですが、これで主人公がまともだとすぐに話が決着しちゃいますしね…
ラブコメ面は二巻終了時点で主人公は無自覚状態で二人のヒロインに恋をしているというややこしい展開に。
他にもフラグが立ちかけているヒロインがいますし、ヒロインレースは先が見えません。

主人公はラブコメするシチュエーションばかりに遭遇するようになってしまったラブコメ好きの少年。
努力家(女子ウケをよくするため)でノリがよく、困っている人がいれば助ける善人気質な性格で
特に、自分の都合よりも女の子への気づかいを優先する誠実さは人並外れており
実際、ラブコメ好きである肝心の理由も「女の子が、笑顔になるから」というものだったりする。
文武両道で上記の通り性格も良く、さらにそれなりにイケメンとかなりのハイスペックだが
極度の「ラブコメ好き」により周囲からは変人扱いされており、全くと言っていいほどモテない。
そんな中でも本気の恋心を向ける女子はいるのだが、当の本人は自身に向けられる好意には酷く鈍感。

ヒロインはポンコツハーフ娘、下ネタ好きなクール娘、お馬鹿な天使、クールな副担任。
一番のお気に入りはイギリス人の父親と日本人の母親を持つクラスメイト、神代シンフォニア。
下の名前をもじって「シフォン」と呼ばれており、当人は不服そうにしているが、実はちょっと気に入っている。
金色に輝く流麗な髪、白磁のような肌、碧眼、抜群のスタイルと、独特の神秘的な雰囲気を湛えている美少女。
基本的に無表情(というかぼーっとしている)だが、間の抜けた人懐っこいキュートな性格で
日ごとに「クール」「ミステリアス」「ワイルド」など自身に明らかに似合わない属性を自称しているが
行動が常にポンコツなため、周囲からはマスコット扱いされている。

現時点(二巻)においての評価はC。
作者さんの持ち味である軽妙かつ怒涛のテンポで行われるとぼけた会話劇が思う存分繰り出されていて楽しい。
ラブコメというジャンルそのものをメタ的に弄り倒しながらも、核は正統派ラブコメという構成も面白いですし。
キャラに関しても、ラブコメ好き過ぎて若干キモくはあるものの、ツッコミのキレとひたむきさが光る主人公に加え
ポンコツだったりバカだったりド変態だったりと、ラブコメヒロインとしては残念さが前面に出まくりながらも
きちんと主人公への想いだけは乙女しているヒロインたちには目が離せなくなる魅力があります。
本筋はラブコメ魔法騒動が収束するまで、発動→解除のための奮闘、を繰り返す形で進むようですが…