上流学園の暗躍執事   桜目禅斗(角川スニーカー文庫)



常識破りな主人&使用人達による、新進気鋭の学園エンターテイメントストーリー。
お嬢様なメインヒロインと執事な主人公のコンビが、エリートを親に持つ生徒が集う名門校を舞台に
ライバルたちとの実力主義の謀り合いを定石や校則をも覆す奇策の数々で出し抜いていく。
という、頭脳バトルの色が濃い作品です。学園での序列が卒業後の人生の序列に直結するという設定なので
どの主従も上の序列を目指して鎬を削るわけですが、シリアス度は思ったよりは高くない印象。
メイン格の面子が個性派かつ根が善人ですし、暗躍ありとはいえ勝負内容自体には殺伐さはないですしね。
ラブコメ面は今のところ進展なし。身分差という壁をどう乗り越えるのかに注目したいところ。

主人公はバラバラになった家族を元の形に戻すため、無名の使用人から一流の執事を目指す少年。
因果応報をモットーに行動しており、それゆえに考え方が打算に拠っているが、性根は善人。
人生の理不尽を知っているため、どんなに環境が変わろうと文句を言わずに適応しようとするたくましさがある。
困難ならば困難なほどやりがいがあると考えるタイプで、自称「不可能を可能にしそうな男」
色恋には年齢相応に興味があるが、節度は持っている。ただ、困っている女性は放っておけないところも。
温厚ながら口が回り、ボケもツッコミもお手の物、相手が格上でも物怖じせずと、コミュ力全般が高く
また、使用人の中では学力は足りないほうだが、頭の回転は早く記憶力も良いため、勉強自体は苦手ではない。
ハンカチ依存症であり、ハンカチを駆使してあらゆる芸を披露する事が特技。

ヒロインはクールなお嬢様、スター気取りなお嬢様、奇想天外な使用人、内気ヤンキーなお嬢様。
サブに不器用初心な使用人、あざとい巨乳お嬢様、ブラコン妹。
一番のお気に入りは母はアメリカ人のハリウッド女優、父は日本人の資産家なお嬢様、相須シャルティ。
圧倒的なスタイルと美貌で周囲から注目を浴びている金髪ポニーテールの美少女。
スター気取りな自信家でナルシスト、その上気が強く負けず嫌いでムキになりやすく、単純で素直。
更には世間知らずで何事も形から入るタイプだったりと、実に扱いやすい性格。色恋でも割とチョロい。
自身が最も美しいと確信しているがゆえに、露出度の高い格好になることを厭わないところがある。
趣味は自分磨きとショッピング。特技はスポーツと英語。嫌いなものは勉強と自分より目立つ人。

現時点(一巻)においての評価はC。
凄腕執事とポンコツお嬢様というよくある構図ではなく(勿論そういう要素がないわけではないのですが)
お嬢様が無茶ぶりして、それを執事な主人公が器用にこなしていく、という構図が新鮮で楽しい。
キャラに関しては、腕っぷしこそないものの、ボケもツッコミも何でもござれな陽性のコミュ力に加え
器用さと頭のキレで難題をクリアしていく主人公が格好よく、なおかつ見ていて面白いのがグッド。
ヒロインたちもお嬢様と使用人というそれぞれの立場で個性豊かに存在感を主張していますしね。
本筋は無事に己の主人をクラス代表に就任させることに成功した主人公ですが、今後登場するであろう
他クラスや上学年の面々との対決は間違いなさそうですし、マイスターへの道のりは険しそう。