魔王学園の反逆者　　　久慈マサムネ（角川スニーカー文庫）



魔王候補となった人間が最強の悪魔たちに戦いを挑む成り上がり学園魔術ファンタジーストーリー。
魔族にとって人間は奴隷でしかない、というかなり胸糞悪い価値観が基本の世界観になっているため
人間の身でありながら正義の魔王を目指して成り上がっていく主人公の活躍はカタルシス抜群。
当然敵側は不快感バリバリな悪党が多く登場するのでバトル勝利時の勧善懲悪な爽快感も申し分なし。
主人公は素人スタートですが、能力がかなりチートなのでストレスが溜まる展開も長くないですしね。
あと、主人公には眷属と肌を重ねることで魔力を吸収するという特性があるので、お色気要素もバッチリ。
ラストは魔王候補の同盟を撃破し、俺の次期魔王になるための戦いはこれからだエンド。
ラブコメ的にはカード（眷属）という名の事実上のハーレムメンバーが五人集まったところで終了。

主人公は人間でありながら次期魔王候補に選ばれ、悪魔の学校へ転入することになった少年。
魔王候補としてはともかく、人間としてのスペックは平凡の域を出ないが、誠実で正義感が強く
自分の事であれば侮辱であっても我慢できるが、他人のためならば怒り、戦うことができる。
また、相手がどんなに強大であっても屈せず、敵わない相手でも立ち向かおうとする心の持ち主。
色恋に対する意識は年齢相応だが、良識と自制心は普通にある。しかし、結構流されやすいところも。

ヒロインは誠実なお嬢様、攻めに弱い同級生、心優しき後輩、内気な魔王候補、アイドルな魔王候補。
一番のお気に入りは主人公のアルカナ「ラバーズ」のナイトを務める中学二年生、小岩井れいな。
銀色のロングヘア、幼さの残る可愛らしい顔、小柄でつるぺたな身体の癒し系美少女。
いつも落ち着きがなくドジなところがあるが、心優しく献身的、更に言うならば過保護な性格で
大好きな主人公を優しくアシストしたい、守りたいと思っている気持ちが強かったりと、正に天使。
「ですです」「れいなは、れいなは」など、言葉を二回続けて喋る癖がある。何気に下着は大人びている。

評価はＣ。
「主人公は学園の中で唯一の〜」という設定がマイナス方向に働き過ぎていて出だしから不安になりますが
苦境からの成り上がりだからこそ、周囲の悪意をものともせずに戦う主人公を素直に応援できます。
人格も思いやりがあって正義感も強いなど、正に王道のヒーローといった感じなので見ていて気持ち良いですし。
一方、ヒロインたちは挿絵を含めてお色気シーン満載な上、好意全開なアプローチが可愛くてグッド。
本筋は直近の敵を降し、第一部完！　な典型的打ち切りエンドでの完結と残念無念。
仲間枠はまだ余っていますし、敵も上位陣が全員健在、謎も多く残ったままと消化不良感がヤバイ。