学園騎士のレベルアップ! 三上康明(ダッシュエックス文庫)
落ちこぼれクラスの最強転生者が贈る学園ファンタジーストーリー。
大枠としては異世界転生+最底辺からの成り上がりものですね。主人公一人が、ではなくクラス全員で
という方向性なので、賑やかで騒がしく、それでいて熱く爽快感のある話が楽しめるかと。
あと、主人公が実力を隠蔽しているのではなく、学園側が判定機の仕様の都合で誤判定をしただけなので
周囲に見下されていた主人公が圧倒的な実力を見せるというカタルシスも頻繁かつ存分に味わえます。
ラブコメ面は今のところ進展なし。まあ、同級生は十三歳で主人公は前世で成人でしたしね…
主人公は学年首席の学力なのに誤判定で問題児クラスへ入る羽目になってしまった転生者の少年。
超ド田舎出身で、技能レベルを数値で確認できる希有な能力「試行錯誤」を有している。
マイペースで空気が読めず、後先を考えずに動き、誰にでも気安いためトラブルメーカーになりがちだが
前世において急逝した父の工場を当時大学生の身でありながら一人で整理した経験からメンタルが強く
また、自分の力ではどうにもできない目にあっている人を無視できない義侠心の持ち主で、面倒見がよい。
その一方で、目先の欲に囚われ、ぶら下げられた餌にすぐ食いついてしまう単純なところも。
上記の性格ゆえに説得力は皆無だが、波風立てずにリスクなく生きることを目標としている。
ヒロインは守銭奴な男装娘、チョロインな才媛、粗暴な級友、小動物系な級友。
一番のお気に入りは槍の名家の末っ子な級友、ルチカ=シールディア=ラングブルク。
金色だが根元のほうは暗い色になっている左右お下げの長髪にくりっとした目元の小柄で眼鏡な美少女。
素直な性格で向上心があり、ルームメイト以外では一番最初に主人公の教導を受け入れている。
槍一辺倒な兄の苦手な部分をカバーしてあげようと勉強を頑張るなど、兄想い、というかブラコン。
現時点(一巻)においての評価はC。
前世の記憶と技能レベルを確認できる能力で力を上げ過ぎた少年が、学校側の不手際で騎士養成学校の
落ちこぼれクラスへ入れられるも、個性豊かな仲間たちと共に大騒動! というのが基本路線なわけですが
学校に蔓延る害にしかならない貴族偏重主義を打破していく、という要素もあるので痛快さは抜群。
反面、前世では急逝した父親の会社の整理で若くして滅茶苦茶苦労したので今世では謙虚堅実に!
という前置きがあるのに、毎度考えなしにその場の勢いで動く主人公は設定と噛み合ってなさすぎでは…?
まあ、ヒロインをはじめとした同校生たちも癖の強い面子揃いなのでバランスは取れているのかもですが。
本筋は主人公と仲間たちの底辺からの成り上がり+腐った風潮の打破が主軸となって描かれていくようですが
味方もいるとはいえ、相手は長年積み重なってきた思想と身分差ということで前途は多難そう。