剣神と魔帝の息子はダテじゃない   shiryu(ダッシュエックス文庫)



世界最強の両親の間に生まれ、剣も魔も極めた超規格外な力を持った少年の冒険譚。
大枠としてはファンタジー世界を舞台にした主人公最強ものですね。清々しいまでに血筋チートです。
ただ、この手の設定でよく見かける自分の実力を勘違いしている系、あるいは実力隠し系ではなく
主人公がきちんと自分の実力を自覚し、躊躇なく最強の力を振るっているのがいいですね。
やや話の流れが単調ではあるものの、変にストレスをためずに済むので読み易く爽快感があります。
あと、両親のキャラクターが面白く、そのため冒険に出るまでの描写が笑えるのも新鮮でグッド。
ラブコメ面は主人公が恋愛という概念そのものを理解していないこともあり、今のところ進展なし。

主人公は世界一の腕前を持つ剣神(♂)と魔帝(♀)の間に生まれ、両親の才能を引き継いだ魔法剣士の少年。
外見は父親譲りの茶髪、そして母親譲りの綺麗な顔立ちと金色の目が特徴。
冒険の旅に出るまでに交流のあった人間が両親だけであるため、誰に対しても遠慮のない態度で接するが
言い換えれば礼儀知らずなだけであり、色恋にも疎いという以前に理解が及んでいない。
また、生い立ちゆえに世間知らずではあるものの、地頭はよく、落ち着きがあって肝が据わっている。
対人関係は自分に正直であるがゆえにドライなところもあるが、受けた恩や義理はきちんと返すタイプ。

ヒロインは勝気な双子姉、甘えん坊な双子妹、ドジっ子S級冒険者、ツンデレな雷魔法使い、狼獣人の受付嬢。
あと、後々再会するであろう盗賊団の女ボスが昇格候補?
一番のお気に入りは主人公が旅の途中でモンスターから救助したF級冒険者、アン。
百五十センチぐらいの身長、肩ぐらいまである金髪と碧眼を有する十六歳の美少女。
勝気でしっかり者な常識人で、冒険者としての相方であり双子の妹でもあるアナを大切に想っている。
甘えん坊でスキンシップに躊躇のないアナとは反対に、色恋には結構純情。

現時点(二巻)においての評価はC。
話の設定や展開がテンプレ全開であるため、変に構えずにサクサク読み進めることができます。
反面、わかりやすすぎて「この先はどうなるのだろう?」というワクワク感に欠けるのが難点でしょうか。
キャラに関しては、世間知らずではあるものの、言動は割と常識的で戦闘に関しては判断の甘さが少なく
教導となればヒロインたちに対してもキッチリ厳しい主人公が設定から受けるイメージ通りで良い感じ。
ヒロインたちは大半が残念臭が漂っている上チョロイン揃いですが、バランス的には丁度良いのかも?
本筋は現状世界を見るという漠然とした目的しか持っていない主人公はしばらくは街に定住するようですが
いずれ街を出ることは間違いないようですし、その時ヒロインたちがどうするのか気になるところ。