魔界帰りの劣等能力者   たすろう(HJ文庫)



最弱劣等の少年が魔神殺しの力で無双する、劣等×最強の異能アクションストーリー。
霊力や魔力を持つ異能者が陰となり日向となり活躍している現代地球が舞台となっている本作ですが
主人公は霊力も魔力も使えない、だから周囲からは見下されているけど実は物凄い実力者だった!
という、わかりやすく王道な底辺からの成り上がり&カタルシス全開の話になっています。
まあ、全力発動の代償として、他者との縁が切れて存在自体を忘れられてしまうという設定は見ていて
もどかしいことこの上ないのですが。手柄や感謝を他者に横取りされてしまうわけですからね。
ラブコメ面が主人公に好意を抱くヒロインは複数いるも、彼自身には忘れられない最愛の少女がいて…?

主人公は霊剣師の家系に生まれながらも霊力も魔力も使えず、それゆえに落ちこぼれと見下されているも
実は魔界に赴き人知れず魔神を殺し帰還した隠れた実力者である仙道使いの少年。
良く言えば温和でお人よし、悪く言えば自分に自信がなく、地味で頼りなさそうではあるものの
問題解決のための判断力は優秀で、環境適応能力も高かったりと、実際は頼り甲斐抜群。
また、人との繋がりを大事にし、人と繋がることを決して諦めない意思の強さの持ち主でもある。
過去の経験から、自分以外のものが犠牲になることを正当化している連中が最も許せない。
色恋には奥手だが、過去に幼馴染の白澤茉莉に告白し、こっぴどく振られた経験あり。

ヒロインは気位の高い精霊使い、心優しきエクソシスト、才色兼備な幼馴染、聡明な他国の令嬢。
好奇心旺盛な白虎、ミステリアスな赤髪娘、天然系お姉さん、誘惑系お姉さん、小悪魔な年下娘、清楚な年下娘。
一番のお気に入りは神具「ラファエルの法衣」の所持者であるエクソシスト、マリオン・ミア・シュリアン。
目鼻立ちの整った顔に、シルクのような金色の髪と青い瞳が特徴的なクォーター美少女。
大人しくお淑やか、そして柔和で心優しい性格だが、意外に人見知りが激しく、直接戦闘にも長けている。
過去に両親を失った時の後悔から、自分の大事な人たちが自分の前で傷つくことに耐えられない。
本人は隠しているが、実は日本に来てからアニメに結構嵌っている。

現時点(十二巻)においての評価はC。
周囲からは見下されるわ、活躍しても忘れられて他者の功績になるわ、貧乏だわと相当に酷い環境の中
それでもポジティブに前に進み、大切な人たちを守るべく戦う主人公の姿が切なくも格好いい。
日常パートだと情けない部分が目立ちますが、それゆえのシリアスパートでのギャップが際立っています。
一方、ヒロインたちは皆良い娘ではあるものの、好意が報われるまでのハードルが高すぎるのが不憫である。
本筋は敵の思惑に嵌まってしまい、魔神が降臨。犠牲を出さぬために戦いを開始する主人公ですが…?