賢者タイムが終わらない。   枕木みる太(電撃文庫)



終わらない賢者タイムと戦う高校生の賢者青春コメディストーリー。
賢者タイムが終わらなくなったらモテ期が到来した! でも状況が状況だから嬉しくない!
最初は頭が悪すぎる設定に笑い、同じ男であるがゆえに賢者タイムネタに共感するも
冷静に考えると恐ろしい状況すぎて、羨ましいはずの環境にいる主人公がまったく羨ましくない…
ラッキースケベイベントが次々発生するのにまったく欲情できないなんてツラすぎて泣ける。
挿絵を筆頭にかなりエロさが強調されているだけに、ギャグだとわかっていても同情が先走ってしまいます。
ラブコメ面は幼馴染の石黒双葉がやや優勢ながらも今のところ進展なし。

主人公は禁忌としていたアレをオカズにしたら、賢者タイムが終わらなくなってしまった少年。
細身の体に猫っ毛の柔らかな髪、そしてぱっちり二重に涙ぼくろが印象的な童顔、という外見の持ち主で
プライドが高く、自己顕示欲の強い性格をしており、人に何かを言われてもあまり素直に聞き入れないタイプ。
また、デリカシーがなく、すぐにボケたがるが、煽りや煽てに弱いため扱いにくいわけではない。
女子には超がつくほど奥手だが、男子の中では「すべらない下ネタを持つ英雄」として人気がある。
幼馴染の石黒双葉以外の女子とはロクに話もできないコミュ障だったが、賢者タイムになって以降は
身だしなみもコミュ力も完璧、何故か顔つきもイケメンになってしまい女子からはモテモテに。

ヒロインは陽キャJKな幼馴染、ファザコンロリ娘、眼鏡っ娘な図書委員、自称ライバルなお嬢様。
一番のお気に入りは図書室で出会った隣のクラスの眼鏡図書委員、早川律。
ザ・図書委員という言葉が頭に浮かぶ、今時珍しいおさげの髪+眼鏡な地味系隠れ巨乳美少女。
入試で一番の成績だっただけあって真面目な性格をしており、人見知りで恥ずかしがりや。
本人はそんな非リアで陰キャな自分がコンプレックスで、自分を変えたいと思っている。
青春サイコパスとしか言いようがないほど青春に対するこだわりが強く、ツボに入ると涎が出ることも。
図書委員としての仕事がない日はファミレスでホールのアルバイトをしている。

現時点(一巻)においての評価はC。
賢者タイムとは一体……? と突っ込みたくなるほどの賢者タイム無双っぷりが面白くて笑えます。
いや、当人からすれば大事ですし、代わるかと言われたら絶対NOなわけですが。
キャラに関しては、とにかく主人公への同情と感情移入度が凄まじいことになるとしか言えませんね。
彼の悲哀は涙なしには語れませんし、この状態でモテてもなぁ…というのも当然。
とはいえ、ヒロインたちのエロさと可愛さは本物ですし、このやるせなさが当作品の味ですな。
本筋は無事主人公の書いたえっちなラノベは発売され、オチもついて一冊でサクッと纏まっていますが
これ続きは出るのだろうか。テーマが明らかに一発ネタでしかないから無理目っぽいですが…
その場合、折角出した四人のヒロイン候補の掘り下げが不十分で勿体ないんですよねぇ。