神々に育てられしもの、最強となる 羽田遼亮(富士見ファンタジア文庫)
神々に育てられた結果、すべてが規格外となった少年の世界を救う旅物語。
この手の「人里離れた場所で世界最強クラスの実力者に育てられ、規格外の実力を身に着け旅に出る主人公」
という存在は、どうしても自分の実力に無頓着だったり、事あるごとに常識外れな行動をとり続けたりと
読者からすると「学習能力がないのかお前は?」と突っ込みたくなるケースがほとんどですが
当作品の主人公は世間知らずではあっても気遣いができるため、問題解決=力押し一辺倒でないのがグッド。
勿論、力で解決すべき場面ではちゃんと無双っぷりを見せてもくれるので爽快感も抜群ですし。
ラストは最愛の女性と再会を果たした神々に育てられしものは邪教団打倒の旅を続けるのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのルナマリアと結ばれて終了。
主人公は神々の住む山テーブル・マウンテンの麓に捨てられた後、神々に拾われ育てられた少年。
剣の神、治癒の神、魔術の神による英才教育を受けた結果、神々をも驚愕させる最強の力を手に入れた。
物腰穏やかで礼儀正しく、思いやりがあり、無用の殺生を好まない紳士的な性格の人格者。
どのような強敵にも屈しない強い心、悪を許さない正義の心、弱きものに情けをかける慈悲の心を備えている。
トラブルに巻き込まれやすい体質だが、聡明で空気も読めるため、状況を悪化させることはあまりない。
ヒロインは清楚な盲目の巫女、脳筋な男装勇者、天真爛漫な商家令嬢、妖艶なエルフ勇者。
一番のお気に入りは神託に従いテーブル・マウンテンにやってきた盲目の巫女、ルナマリア。
銀色の長髪、そして年齢の割に豊満な胸を有する、まるで絵物語に出てくる聖女のような美少女。
真面目で信仰心が厚く献身的な性格だが、清楚で穏やかな雰囲気に反し、言動は結構積極的。
主人公の事を救世の勇者と見込んでおり、彼のためであれば命も貞操も惜しむつもりはまるでない。
生来の気質に加え、巫女の集団で暮らしてきたことから、他人の視線に無頓着なところがある。
盲目ではあるが、それゆえに他の感覚が鋭く、生活力や行動力は健常者と遜色ない。
評価はD。
規格外の実力を有しながらも良い意味で真面目であり、気遣いができて落ち着きのある主人公が頼もしい。
旅仲間なヒロインも無駄に問題を起こしたり、感情優先で動いたりしませんし、正にストレスフリー。
味方側の主要キャラに嫌味な部分がないのでサクサク読めますし、安定感があって優しい読み味を楽しめました。
主人公自身の実力に加え、バックには親馬鹿な神々がついているので不安要素も事実上皆無でしたしね。
反面、主人公サイドが安定しているがゆえに様々な面で起伏には欠ける印象がありましたが…
あと、タイトルに最強が入っている割には苦戦というか、負けてた可能性が多いのも残念な点。
ラストバトルに至っては、結果的に主人公側の勝利という形になっただけで、事実上負けてましたし。
本筋は話に一区切りこそついたものの、色々と不完全燃焼な「俺たちの戦いはこれからだ」エンドで完結。