異世界忍者無双   甘味亭太丸(富士見ファンタジア文庫)



剣と魔法のファンタジー世界に忍の秘術が舞い踊る、異世界忍者アクションストーリー。
大枠としては異世界転生ものですが、転生特典が「忍者の力」という世界観にミスマッチな点が特徴ですね。
中身はあくまで元サラリーマンでしかないので主人公は忍者といっても全然忍べていない。
むしろ派手な活躍をしまくりですが、その分、分身の術や大凧飛行、自由自在な手裏剣&苦無投擲など
創作における忍者技能全開で異世界を舞台に縦横無尽に舞い踊ってくれるので爽快感は申し分なし。
相対する敵もモンスターや悪人が主体なので読み味スッキリで後腐れもないですしね。
ラブコメ面はヒロイン側がアグレッシブではあるものの、主人公がヘタレなため今のところ進展なし。

主人公は事故で死亡し、三重県担当を自称する女神の手引きにより異世界へと転生を果たした元サラリーマン。
転生特典として忍者の力を付与されており、万能すぎる技術や忍術を扱うことができる。
両親が古い人間ということもあり、転生するまでの二十九年間、周りの言うことを聞いて真面目に生きるだけ
という典型的な「No」と言えない日本人そのものだったことから、束縛と支配を最も嫌っている。
正義感が強いわけではないが、困っている人や危機に陥っている人を無視できない性質。
色恋については女生徒の交際経験こそあるものの、非常にピュアなままであり、かなり優柔不断。

ヒロインは危なっかしい冒険者、色ボケシスター、おませなドラゴン幼女、クールな銀狐。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(二巻)においての評価はC。
ファンタジーな異世界で忍者が無双! という絵面的に違和感バリバリな構図がインパクト抜群。
まあ、粗も多いですし、忍者無双というよりはあくまで忍者の力が無双しているだけって印象が強いですが
深く考えたら負けと言うか、勧善懲悪な痛快活劇とはかくあるべしと割り切って読むのが吉。
キャラに関しては、忍者な正義のヒーローを体現している主人公が実に映えています。
反面、主人公の活躍が派手過ぎてヒロインたちの影が動くなっている感があるのが難点ですが。
本筋は一巻で魔王と大魔獣を、二巻で邪神を撃破とインフレが進んでいますが、さて。