俺、「城」を育てる 藍月要(ファミ通文庫)
D級冒険者の青年と城の精霊幼女のまったり育成生活物語。
大枠としてはゲームチックな要素の強い育成ものですね。最近は人間や動物といった生物のみならず
村やアパート、お風呂といったものが対象になっているため、そこに城が加わってもおかしくはないですね。
城を改修したり設備増加には魔物の死骸が必要、という点は上手くバトルの必然性を作っているかと。
設定の都合上戦闘描写が結構ありますが、全体の雰囲気的にはスローライフ色が濃いです。
また、描写はあっさり気味ながらも、日本食が登場したりと飯テロ要素もある模様。
ラストは私欲のために魔王となったダークエルフを倒し、彼は今日も城を育てるのだったエンド。
ラブコメ的には進展がないまま終了。というか恋愛描写そのものが事実上皆無という…
主人公は魔物に襲われて瀕死のところを城の精霊に助けられ、気がつけば城主になってしまっていた青年。
城主になるまではお人好しで性格が甘すぎるという理由からC級冒険者へのランクアップが遅れていた。
冒険者としては慎重ではあるが決して臆病というわけではなく、思考を重視するタイプ。
過去に信頼していたパーティーメンバーに金を持ち逃げされ、何もかも嫌になってしまった経験がある。
ヒロインは天真爛漫な城の精霊、凛々しきダークエルフ、職人気質なドワーフ、真面目な文官娘。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
評価はD。
魔物の死骸を集めることでたまるポイントによってどんどん多様に強化されていくお城。
という図式が、いかにも育成ゲームっぽくて見ていて楽しく、主人公たちの喜びに共感しやすかったです。
キャラに関しては、突出した実力や特技こそ持たないものの、適度な慎重さと勇気で奮闘する主人公が
昨今のチート主人公全盛期の中、逆に新鮮で見ていて好感を抱けました。
本筋は魔王を倒しての完結という形にはなってはいたものの、魔王自体がポッと出の上出番自体が少なく
ラストバトルも殆ど盛り上がりなく淡々と終わってしまったため「え、これで終わり?」という
印象が拭えませんでした。正直、城を育てるという設定を活かしきれていなかったの一言に尽きるかと。