神聖魔法は漆黒の漆原さん   森田季節(MF文庫J)



魔女なヒロインたちに振り回される少年が主人公の、学園マジカルラブコメディ。
バトルやお色気要素もそこそこありますが、基本的には軽快な掛け合いがメインの作品ですね。
主人公が魂移動で他の身体に移るイベントが多いため、それを活かした展開が特徴的。
周囲が破天荒なキャラばかりではあるものの、主人公は常識人なので度が過ぎることがないのが良し。
ラブコメ的には、主人公が鈍感なのとメインヒロインが強く動いていないせいか二巻の時点では大人しめ。
魔女の倫理観的にハーレムはどうなのか気になるところ。
あと、個人的にはキャラ立ちしまくっている七人のご先祖様の活躍にも期待。

主人公は物語開始早々、崖から転落したために魂を人造人間に移し生きていく羽目になった少年。
非常に不運な人生を過ごしてきており、崖からの転落も日常茶飯事と自虐できてしまうほど。
ちなみに人造人間ボディの顔は元の身体の顔よりもイケメン。
あと、口から火が出たり、一時的な身体能力や頭脳がアップなど、色んな機能もついている。
不運な人生の賜物か、魔女の存在をすぐに受け入れたりと、結構人間的に度量が大きい。
しかし元々ただの一般人でしかないので、非常識な事態にはツッコミを入れまくる。
主人公らしく異性からの好意には鈍感ではあるものの、普通にエロ本などは所持し、女体に興味はある模様。

ヒロインは天然幼馴染、クール毒舌なクラスメイト、権力志向な委員長、神出鬼没妹。
メインはこの四人のようなので、あとはサブポジションのヒロインが現れるか否か。
一番のお気に入りは、孤高の一匹狼っぷりから「王子」と呼ばれている黒髪少女、灰島縁。
整ったスタイルと容姿、並外れた運動能力、優秀な成績にクールな雰囲気。
と、外面はおおよそ完璧なキャラではあるものの、実はその内面はねちっこい性格で自信家。
とはいえ、陰湿というほどではなく、根はお人よし。
しかし性格的に素直ではないため、憎まれ口を叩くことが多い。要はツンデレ。
大がつくレベルのクマのぬいぐるみ好きだったりする。

現時点(二巻)においての評価はC。
ひとつ匙加減を間違えればシリアス一直線になりがちな設定が、正統派コメディに仕上がっているのがいいですね。
暗く重くなって当然の要素をあえてライトに料理する。
こういうタイプの作品は非常に好みなので是非このままの雰囲気でいってもらいたいものです。
まあ、少々シリアスに傾きそうな設定も存在しているので、不安な部分もありますが。