なぜ究極魔術師の俺ごときが、超人女子高生を
チョロインにしてしまうのか
                     黒九いな(ファミ通文庫)



どんな女子高生も魔術で陥落! 究極の学園バトル&ラブコメディストーリー。
大枠としては学園異能バトル&ラブコメですね。コメディ色が濃いこともありバトル描写はアッサリ風味。
タイトル通り人知を超えた能力を持つ超人女子高生なヒロインたちが主人公と出会うことでチョロインと化し
彼に惚れてしまい、そこからコミカルなラブコメ劇が広がっていくといった感じでしょうか。
なお、主人公は自分が最強なのに落ちこぼれだと頑なに認識しているといった勘違いものの要素もありますが
ヒロイン側の好意がストレートであることが幸いしてか、ラブコメにおける勘違いはありません。
ラブコメ面は九十九人の美少女に恋心を向けられているも、色々な事情から現状主人公に応える気はない模様。

主人公は超人の能力を探るため、学生として超人の学園に潜入するよう命じられた魔術師の少年。
魔術師の名門である蘆名家に生まれながら、才能がない落ちこぼれと言われていたが
主に父親のせいで自分の実力を勘違いしているだけであり、実は桁外れの魔術を使える現代最強の魔術師。
真面目で実直な努力家で、恩義に厚い性格をしており、物事を論理的に考えるタイプ。
自己評価の低さから色恋に関しては朴念仁だが、女慣れしていないためグイグイ迫られると弱い。
その一方で、自覚なくクリティカルな殺し文句を吐いて相手の女の子を撃沈することもしばしばだったり。

ヒロインは苦労人な義妹、乙女趣味な級友、あざとい令嬢後輩、ボクっ娘先輩、殺し屋な中華娘。
あと、九十四人ほどサクッと倒した結果チョロく主人公に惚れてしまった女の子がいる模様。
一番のお気に入りは蘆屋家の跡取りにして主人公とは血が繋がっていない一つ下の妹、蘆屋凛音。
セミロングの黒髪に、ぱっちりとした大きな瞳の美少女。
物腰上品で清楚、人当たりも悪くなく、好きな相手には献身的と正に大和撫子といった表現がピッタリだが
幼い頃にした「お嫁さんになってあげる」宣言に加え、抱いた恋心を本気のままに持ち続けて成長し
主人公と結ばれるために組織や家族を裏切ることも厭わず、手段を選ばなかったりと、割と愛が重い。
箱入り育ちであるため、エロ知識には疎く、純粋。

現時点(二巻)においての評価はC。
超人たちと相対した際、きちんと能力考察を重視しているのが地に足がついている感じで好感触。
まあ、大体結果的には力押しで勝ってしまうので台無しですが、その落差がまた面白い。
反面、主人公の勘違いっぷりが話の核となっているがゆえに、そこを容易に変化させるわけにはいかない。
というのはわかるのですが、論理的思考をするキャラなのに勘違いをし続けるというのは無理がありすぎる気が。
チョロインなヒロインたちも大半の面子が主人公が自分より強いから惚れたってパターンですし。
惚れた後の言動は好意的で可愛らしいものばかりなので細かいことは気にするべきではないのでしょうが。
本筋は未だ全貌不明な「世界を革命する兵器」や敵性存在である統合生徒会が不気味ですが、不安は一切なし。