偽の恋人だったクラスの美少女たちが、
本当に俺のことを好きになっていた件
   友橋かめつ(ファミ通文庫)



偽の恋人たち(+義妹)との、間違いだらけラブコメストーリー。
この手のいわゆる偽装恋人ものは偽装という秘密がバレないように立ち回る中、勘違いや誤解の積み重ねから
主人公やヒロインが追い込まれていったり、偽の関係が徐々に本物になっていく過程を楽しむのが王道ですが
この作品は告白した女子三人全員と付き合うという三股関係がオープン状態という突飛さが凄い。
お約束など知るかとばかりに真正面からこじれた環境のまま話が突き進みますし…
ラブコメ面は三人の美少女と恋人なハーレム状態ながら、義妹も諦めずにハーレム入りを狙っている模様。

主人公は義妹の猛烈なアプローチをかわすべく、三人の少女に恋人のフリを頼んでしまった少年。
外見は平凡で成績は底辺と没個性的で、三股が広まるまではクラスでも存在自体が希薄だった。
一学生としては怠惰かつ迂闊で、問題が起きれば根本的な解決を目指さずにその場しのぎを繰り返すタイプ。
また、一つのことに目が向くと他の事が頭から抜けてしまい、負債をため込んでしまいがち。
その一方で意外にメンタルが強く、ぶつかることを恐れず、割と誰にでもずけずけものを言う。
恋愛経験ゼロであるがゆえにデリカシーに欠けているが、相手の好意は無下にしない律儀さの持ち主。

ヒロインは肉食系義妹、ドSな学級委員長、ほわほわ系幼馴染、気さくなリア充女子。
一番のお気に入りは主人公の住むマンションの隣人にして三歳からの幼馴染、真白蛍。
クリーム色のボブカット、豊満な胸、優しげな顔立ち、そしておっとりほわほわした佇まいの美少女。
家事能力が高く、しっかり者で面倒見がよいことから、クラスでは「お母さん」と呼ばれている。
大きく圧倒的な包容力を有しており、温和で誰にでも分け隔てなく優しさを振りまく性格ゆえに
冴えない男子からの人気が根強いが、当の本人は昔から主人公一筋だったりする。
一度言い出したら聞かない頑固なところがあり、また、アドリブに酷く弱く、嘘をつくのが下手。

現時点(一巻)においての評価はC。
三股スタートというインパクトは勿論ですが、それ以上に注目すべきは義妹である心音のぶっ飛び具合ですね。
肉体関係バッチ来いな言動や求婚も厭わないとか肉食系という表現では済まない偏愛っぷりである。
ただ、そのせいで他の主要面子の存在感が薄くなっているという難点もありますが。
特に主人公とか、普段の生活態度が酷いから「なんでコイツが好かれるの?」という疑問が先立ちますし。
美点がないわけじゃないけど、先に欠点を見せすぎなんですよね。やはり第一印象は大事。
本筋は三人のヒロインたちと偽の恋人関係を続けつつ、彼女たちの抱えている悩みや問題を解決していき
そこから本物の恋愛へと繋がる道筋を作っていく、という流れで進んでいく模様。
個人的に気になるのはやはり義妹の存在。果たして彼女の想いは報われるのか否か。