少女は鞘に納まらない   龍威ユウ(ヒーロー文庫)



男女の価値観が逆転した異世界で肉食女子たちに狙われる剣士の青年が刀剣少女たちと戦う和風ファンタジー。
大枠としては異世界転移ものですね。人間の女性は絶滅し、代わりに刀剣より生まれた新人種「御剣姫守」
男女比1:9、そして男女の価値観が逆転した世界観と、ハーレムラブコメをやれと言わんばかりの設定が
目を惹きますが、主人公の抱える重い過去や敵対する鬼の存在など、シリアス要素も濃い目。
バトルシーンにおける剣戟描写も鬼気迫っていて文字通り火花が散る熱さがあって心が沸き立ちます。
ラブコメ面は環境だけ見ると美女美少女たちから迫られまくりなモテモテハーレム状態ではあるものの
主人公は一夫一妻制の日本出身ですし、御剣姫守は皆独占欲が強いため、ハーレムエンドは難しいっぽい?

主人公は剣術家の家に生まれ、ある日、とある事情から最愛の家族の命を奪ってしまい
その贖罪として自ら命を絶ったはずが男女の価値観が逆転している異世界の森の中に迷い込んでしまった青年。
元の世界では剣術道場鳴守真刀流の跡取り息子であり、他流派が認める最強の剣士だった。
真面目で一度決めたことを曲げない、信念を貫き通す武人気質の持ち主。思考の切り替えが早く
己よりも弱き者を護ることを剣を振るう上での信念としており、剣術家らしく勝つためには手段を選ばない。
幼少期の頃から母に手伝いをさせられてきたことから、料理をはじめとした家事は一通りこなせる。

ヒロインは狐っ子な剣娘、聖母のような剣娘、唯我独尊な剣娘、しっかり者な剣娘、ボクっ娘な愛刀、他多数。
一番のお気に入りは鬼と戦う組織「桜華衆」の最高幹部である天下五剣の一人である御剣姫守、三日月宗近。
腰まで届く金色の長髪に翡翠色の瞳と豊満な胸を持つ、例えるならば夜空に浮かぶ三日月のような美人。
穏やかで聖母のように心優しく、御剣姫守の中では比較的常識人だが、あくまで比較的なレベルであるため
他の面々同様、男が絡んだ時の嫉妬心や独占欲はかなり高く、男を巡って姉妹と斬りあうことも辞さない。
おしとやかで家庭的そうな見た目に反し、料理が苦手。

現時点(三巻)においての評価はC。
ヒロインたちは実在の刀剣が擬人化した存在なわけですが、私個人は刀剣に全然詳しくないため
彼女たちの名前を聞いてもピンとはきませんが、格好良さのニュアンスは伝わってくるので問題なし。
御剣姫守側の貞操観念がかなり軟派であるため、肉食女子たちが毎度主人公に迫りまくりではありますが
それゆえに節目節目に起きる命懸けのバトルを軸にした硬派な部分が引き立っている印象。
キャラに関しては、心折れた主人公がヒロインたちの支えによって再び立ち上がる様が熱い。
ヒロイン側は世界観上仕方がないとはいえ、がっつきすぎなところは苦笑してしまうも、可愛さは申し分なし。
本筋は毎巻強敵を撃破していく主人公たちですが、新種の鬼が現れて…?