そのエルフさんは世界樹に呪われています。 ぷぺんぱぷ(オーバーラップ文庫)
あったかご飯で世界を救う、低級冒険者の青年とエルフ達のドタバタ餌付けコメディストーリー。
大枠としてはファンタジー世界を舞台にした、地味だけどちょっと変わった冒険者生活物語ですね。
主人公は低級冒険者なので戦闘力は低いですし、仲間となるエルフたちは逆に強すぎるため
シリアスなバトル描写はほとんどなく、話の方向性もコメディにかなり寄っています。
なお、エルフを餌付けすることが交流の切欠になっているため、食事が話の軸にはなってはいるものの
主人公は現代日本からの転生・転移者ではないですし、料理人でもないので飯テロ要素は薄いです。
ラブコメ面はヒロインたちと主人公が結ばれると呪いがかけられてしまうという難点がありますが…?
主人公は餌付けをしてしまったことで、エルフの少女たちに付き纏われることになった低級冒険者の少年。
良く言えば律儀で優しく面倒見がよくて用心深いが、悪く言えば小心者な性格。
過去に心を折られてからは自分の分をわきまえ、死なず、体を失わず、危ない場所に近づかず、余裕をもって稼ぐ
を信条に生きており、英雄願望や向上心はないが、将来の人生設計のために必要な努力は厭わない。
食中毒に苦しみながら狼の群れと戦った経験からくるトラウマから、食事はとにかく過剰に煮込むタイプ。
ヒロインはメンタルお子様エルフ、寡黙なダークエルフ、礼儀正しいハイエルフ。
一番のお気に入りは主人公を誘惑せんとする230歳(人間換算で20歳前後)のダークエルフ、ルー・アーガス。
色が抜けたような白の短髪に銀の瞳、褐色の肌、尖った耳、そして豊満な胸が魅力的な美人。
他のエルフ同様主人公に餌付けされてしまい、彼が提供してくれる食事のために忠犬を目指すことに。
内心は感情豊かで食事や誘惑以外の事も色々考えているが、表情があまり変わらず口調も淡々としているため
何を考えているのかわかりにくく、目を離すと黙って無理をしてしまうところがある。
菌が強い呪いを受けているため、自身の養分と引き換えに体を苗床にしてキノコを生やすことができる。
現時点(一巻)においての評価はC。
食いしん坊なポンコツエルフという新感覚なヒロイン像が物語に愉快な彩りを与えている作品。
エルフにかけられた世界樹の呪い(火が使えない、食べ物が入手困難等)はリアルに考えるとキツいですが
当のエルフたちが残念過ぎるため、読んでいて深刻に受け止めずに済むのがいいですね。
キャラに関しては、暴食と恐れられているエルフに懐かれるわ、防波堤として餌役に任命されてしまうわと
厄介事に愛されながらも、共同生活を続けていくうちにエルフたちに情を抱いていく主人公にほっこり。
エルフたちについては駄犬感満載というか、ほぼペット感覚の可愛さですが、それゆえに和みます。
本筋は都市壊滅の危機を何とか脱するも、完全にエルフの世話係となってしまった主人公の明日や如何に。