あなたにだけちょっとあざとくなる私をお許しくださいっ   さくらいたろう(MF文庫J)



ラブとラッキースケベとちょっとだけバイオレンスな超高速連続ループ学園生活物語。
ヒロインへの対応失敗→ヒロインがヤンデレ化→死神に殺されて死亡→時間逆行で復活。
このパターンを繰り返しながら死なずにすむように、最適の未来を探求すべく主人公が奮闘する。
というのが本作の基本構成なわけですが、コメディ路線とはいえとにかく主人公の命が軽すぎるw
息をするようにサクサク死にますからね、彼。悲壮感はほぼ皆無なので読み味は常に軽いですが。
ラブコメ面はヒロイン三人を恋人にし、ハーレム成立。この話現代日本が舞台だけど大丈夫なのだろうか。

主人公は死ぬ程あざとく愛してくれる彼女たちとのハーレムを手に入れるため、そして愛する未来の娘
ヒカリのために何度も何度も生き返りつつ奮闘することになった高校二年生の少年。
亡き両親に変わって育ててくれた祖父母に曾孫の顔を見せてあげたい! という一心から
早く彼女を作って子供を授かりたいあまり、立派なポジティブスケベ君に育ってしまった。
楽天的かつ己の煩悩に正直な性格で、時と場合をわきまえずセクハラを働くおっぱい好き男だが
ヒロインたちの過剰な愛情や異常な性癖嗜好を真正面から受け入れるなど、器は大きい。

ヒロインはお淑やかお嬢様、甘えん坊な義妹、人懐っこい後輩。
昇格候補に塩対応幼馴染、他複数? サブに愉快犯女神、無口な死神、未来の娘なども。
一番のお気に入りはハクバノ王子サマを求める夢見がちな一つ年下の後輩、奏雫。
明朗快活で健気で人懐っこく従順、えっちなことが苦手なだけで人畜無害な性格をしているが
色恋についてはメルヘンチックで思い込みが激しいところがあり、恋する相手である主人公が
何を言っても好意的に捉え、過剰なまでに評価し、美化してしまう傾向がある。
自分の身体つき(胸が小さい)に対するコンプレックス持ち。

現時点(一巻)においての評価はC。
設定や話の構成そのものは興味を惹かれますし、ノリ重視で突っ走ってる感のある文章も面白いのですが
主人公は能天気かつ煩悩塗れすぎてヒロインたちへの誠実さが欠片もなく、何故コイツがモテるのか?
と常に首を傾げざるを得ないですし、ヒロインたちはヤンデレ化した時のインパクトが強すぎて
本来の可愛らしさが霞んでしまっている。登場キャラが多いから一人頭の描写量自体も少ないですし…
そもそもヒロインたちが主人公のことを好きな理由が描写されていないから中身を感じられない。
次巻以降があるなら、各キャラをもっと掘り下げ、美点をもっと見せてほしいところ。
本筋はヒロイン三人のヤンデレ化を阻止し、彼女たち全員と結ばれてハッピーエンド!
…かと思いきや、ヤンデレ化の危険性を持つ女の子は他にもいることが判明し…?