スコップ無双   つちせ八十八(MF文庫J)



剣と魔法の世界をスコップ一本で無双する、痛快無比なる冒険ファンタジーストーリー。
タイトル通りマイナー以前に「武器じゃねえよそれ!」なスコップを手に無双する主人公の話です。
波動砲を出したり山を消し飛ばしたりと、もうスコップがゲシュタルト崩壊起こしそうですが
とにかく勢いで読むべし。設定が荒唐無稽すぎるとか、そういう常識的なツッコミをしたら負け。
しかしイラストで見る美少女とスコップの組み合わせの意味不明さと有無を言わせぬインパクトが凄い。
ラブコメ面は誤解とすれ違いの積み重ねでどんどん主人公の外堀が埋まっていっていますが…?

主人公は何故か生身で波動砲を発射する、地上最強の鉱夫(ただし自称はただの鉱夫)。
千年以上掘り続けて得たその実力は人を超えもはや神の域に達しているが本人に自覚はない。
愚直で義に厚く、大抵のことには動じない精神の持ち主だが、朴念仁で思い込みが強いところがある。
また、本人としてはできると信じているからだし、実際できてしまうから仕方ないことではあるが
大体の問題をスコップで解決しようと考えるがために、常識的な思考を無視しがち。
色恋に関しては、千二十四歳と長命ではあるものの異性への興味は普通にある。ただし自制心は固い。

ヒロインはポンコツなすこ姫、薄幸の護衛騎士、控えめなエルフ、幼女不死王。
ゲストヒロインに純朴な巫女、残念賢者、誇り高き貴族令嬢、直情天使、純心な元王女なども。
一番のお気に入りは伝説のエルフの唯一の生き残り、フィオリエル。
肩まで伸びた金髪に、エルフ特有の長く尖った耳。そして幼い顔つきと美しくスラリとした身体には
あまりにも不釣り合いのたわわな巨乳が目を惹く、穏やかな雰囲気の美少女。
控えめで心優しく、素直で疑うということを知らない、浮世離れした性格をしており
エルフにとって伝説の存在「宝石掘りの翁」であり、自分を助け身内と呼んでくれた主人公を慕っている。

現時点(四巻)においての評価はC。
読んでいるうちに狂気すら感じるようになるスコップという概念に耐えられるかどうかが鍵。
作者さんの前作である「ざるそば(かわいい)」同様、間違いなく読み手を選ぶタイプの話ですが
ツボにハマれば不条理コメディとしては最高クラスのバカバカしい笑いを得られるかと。
キャラに関しては、スコップ一本で人間を超えてしまった主人公が一番の奇人変人かと思いきや
その彼ですら怯む勢いでスコップに傾倒していくメインヒロイン、リティシアのぶっ飛び具合がヤバイ。
唯一の常識人であるカチュアには同情の一言。というかこの世界観で常識人とか罰ゲームすぎる…
本筋は力づくで諸悪の根源を倒すことになって、オーブを集める今までの旅の意味がなくなったかと思いきや
そのオーブが原因で太陽神と敵対(しかも主人公は気絶中)することとなり…?