ネット彼女だけど本気で好きになっちゃダメですか?   烏川さいか(MF文庫J)



女の子の本心はネット上にある? 新感覚ギャップ萌えラブコメストーリー。
ネット彼女の正体を暴くというミステリーっぽい要素もありますが、あくまでこれはおまけ程度。
SNSでの会話や呟きをプッシュすることで、リアルではツンツンだけどネット上ではデレデレ。
みたいな各ヒロインごとの意外なギャップを存分に楽しむラブコメがメインになっています。
ヒロイン候補が生徒会の面子で統一されている世界観の狭さゆえに話を把握しやすいのもグッド。
ラブコメ面は主人公と偽恋人「アカネ」が両想いであるため、後は正体を見極めるだけですが…?

主人公は一人身の焦りからネットでニセの彼女を募集して見栄を張ろうする生徒会会計の少年。
根はお人よしの善人だが、迂闊で早とちりしがちなところがあり、寄せられる好意に鈍感。
二年前に行った初めてのオフ会で初恋と失恋を経験していることがトラウマになっている。
アニメや漫画が好きな、いわゆるオタク趣味を持っており、SNS廃人。そして中二病が黒歴史。

ヒロインはツンデレ副会長、ふわふわ天然系庶務、物静かな書記、気さくな生徒会長。
一番のお気に入りは生徒会室ではいつも文庫本を読んでいる生徒会書記の後輩、春風亜衣。
銀髪のワンサイドアップ、雪のように白い肌、鮮やかな青い瞳と、色素が薄くて可憐な外見の美少女。
物静かで口数が少なく感情が読めない不思議ちゃんだが、ネット上では結構テンションが高い。
綺麗に透き通ったソプラノボイスの持ち主で、実は人気バーチャルユーチューバー「シルフ」の中の人。
一学年の間では神秘的な存在として扱われ、信者と呼ばれるような者たちすら存在しており
裏では「白の救世主(ホワイトセイバー)」の二つ名で呼ばれていたりと恐ろしくカリスマ性が高い。
夢は声優になること。また、中学生の頃SNSでの交流で主人公に悩みを解決してもらったことがある。

現時点(二巻)においての評価はC。
SNSという今時のツールをヒロインの可愛らしさを表現するのに上手く活かしているのがいいですね。
偶然からヒロインの素顔を主人公だけが知ってしまった! というのは王道ではありますが
大体は脅迫や秘密の厳守がセットになってしまうため、素直に楽しみにくいところがありますし。
その点、SNSは間接的な交流になるので気兼ねなくヒロインの二面性を堪能できるのが素晴らしい。
まあ、彼女作り&探しにがっついている割にお粗末さや鈍感さが目立つ主人公はどうかと思いますが…
これに関しては、彼が真っ当な思考で動くとすぐに話が終わってしまうので致し方なしかと。
本筋は偽恋人「アカネ」と結ばれるため、彼女の正体を探るべくヒロインたちと交流する主人公。
という構図で進んでいくようですが、最終的には当然一人に絞るわけで…どういうオチになるのか。