アークエネミー・スクールライフ ツカサ(講談社ラノベ文庫)
魔神(架空)が圧倒的強さで無双する魔術バトルアクションストーリー。
大枠としてはゲームのアバター(最強クラスの実力持ち)への転生ものですが、転生先がゲームに似た異世界。
あるいは同世界の遥か未来ないしは過去ではなく、十年後の同世界という点が少し珍しいところでしょうか。
十年後ということは勿論死亡前の知り合いも成長した姿で登場しますし、実際ヒロインたちの大半は
主人公が死ぬことになった事件の関係者で占められているわけで…
世界観は世界の終わりが近づいており、魔術師たちは次の創造主となるべく魔神召喚を行って戦っている
というもので、当然魔神同士のバトルも繰り広げられるわけですが、学園ラブコメ要素もちゃんとあります。
ラストは終末の戦いを制した主従は更新された世界で青春を楽しむのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインの白亜零奈と結ばれて終了。
主人公は町中で通り魔に刺されて死んだと思ったところ、世界の終わりが近づいている十年後の現実世界に
VRMMORPGティルナノーグでの伝説的なプレイヤーキラー魔神ルガーとして転生した少年。
魔神ルガーとして振る舞っている時は友好さを見せないぞんざいな口調で尊大な態度をとっているが
中身は引きこもり歴の長さゆえの警戒心の強いコミュ障であり、女性への免疫もない。
その一方で、やりたいと決めたことは命がけであっても為そうとする心の強さと誠実さの持ち主でもある。
ヒロインは天真爛漫な召喚者、勝気な元妹、音楽好きなロリ魔神、ゲーム好きな内気娘、歌姫なお嬢様。
一番のお気に入りは犯罪者呼ばわりされて囲まれていたところを主人公に助けられた少女、羽井戸夕陽。
真面目で内気な性格で、よく転んでしまうドジっ娘だが、大人しそうな外面に反し芯は強いところも。
兄が通り魔事件を起こしたことで周囲から忌避されており、そのせいでいつもオドオドしているが
ゲームキャラの中で最推しである魔神ルガーの前ではミーハー全開なはっちゃけキャラと化す。
評価はC。
細部に捻った部分こそあるものの、基本的にはテンプレ通りの学園異能バトルといった感じの作品。
新たな世界の創造主を決める戦いという壮大な背景はありますが、シリアス一辺倒ということはなく
むしろ学園青春ラブコメとしての色のほうが濃いので緩急が利いていますし、読み易かったですね。
キャラに関しては、尊大な魔神を演じる羽目になった中身元引きこもりなネトゲ廃人の主人公が苦労しつつ
ラブコメに戦いにと精を出す姿が見ていて楽しかったですし、ステ運の高さによるラキスケ増加も羨ましかったです。
ヒロインたちの可愛らしさも申し分なかったですが、巻数の少なさゆえに掘り下げが不十分だったのが残念。
本筋は最終巻で唐突にラスボスが登場してそのままの流れでラストバトル突入と、駆け足感が物凄く
明らかな打ち切りだと思われますが、あとがきを見る限り、作者がやりたかったことや書きたかったシーンは
全てきちんと描かれているようですし、実際、話そのものはシッカリ決着し、綺麗に纏まっていたかと。
まあ、それでも話の圧縮具合は明白でしたし、もっと巻数をかければ色々やれただろうと考えると…