幼なじみは負けフラグって本当ですか?   猫又ぬこ(講談社ラノベ文庫)



幼なじみは負け属性!? 両想いなのに空回っちゃう学園ラブコメストーリー。
ツンデレな幼なじみの女の子と鈍感でヘタレな主人公という今時珍しいくらいの王道の組み合わせ。
読者からすれば両想いなのは丸わかりなので「早くくっつけよ!」と度々ツッコミたくはなるものの
この前提があるからこその空回りっぷりが笑えるし、もどかしさにニヤケ転がることができます。
最近では見ていて鬱陶しいだけのヒロインも多いツンデレ属性を可愛く輝かせている手腕も見事。
ラストはメインヒロインの桜木萌々花と無事に結ばれてハッピーエンド。

主人公は幼なじみである桜木萌々花のことが大好きなのだがなかなか告白できない高校二年生の少年。
女心に疎く鈍感だが、誠実で面倒見がよく、困っている人を放っておけない性格。
色恋への興味は年齢相応ではあるものの、あくまで萌々花一筋であるため自制心は強い。

ヒロインは金髪ハーフな幼馴染、人見知りな転校生。サブに明け透けな妹。
一番のお気に入りは「幼馴染みは負け属性」というジンクスに怯えている幼なじみ、桜木萌々花。
青い瞳に母親の血を濃く受け継いだ西洋風の美貌、艶々とした金髪のポニーテール。
そして、小柄な身体に対してアンバランスな大きな胸が目を惹く美少女。
プライドの高さから引くべきところで引けない悪癖こそあるものの、いつも元気で面倒見の良い性格に加え
運動神経抜群、成績優秀、料理上手、容姿端麗、巨乳と魅力にあふれているため男子人気はかなり高い。
当人は小三の頃から主人公一筋なのだが、彼に対しては長い間姉御肌で接してきたため
急に甘えん坊になるのが恥ずかしいという理由でついツンツンした態度ばかりとってしまっている。

評価はD。
幼なじみは決して負け属性ではない! と声を大にして主張しているかのごとき当作品。
実際、昨今ではこういう現代学園ものの話だと確かに転校生ヒロインが勝利してしまうのが常なわけで…
だからこそメインヒロインの萌々花にはぜひお約束を覆すべく頑張れ! と、応援したくなりましたね。
ただ、負け属性を自覚しているのにダメな点を全然理解できていないところはどうかと思いましたが。
まあ、どっちかというと問題は主人公のほうが大きかったんですけどね。コイツ恋愛オンチすぎである。
そのくせヒロインが惚れるだけの魅力は備えているんだから性質悪すぎだよなぁ…
本筋はタイトルに反して順当に幼馴染ヒロインと結ばれて終わったものの、結ばれる際の流れが雑過ぎというか
強引すぎて、それでくっつくなら転校生いらなかったんじゃね? とツッコミたくなる展開だったのが残念。
転校生ヒロインが主人公にガチ惚れして三角関係になったらどっちかが泣くことになるわけだから
穏便に終わったのは良いことではあるのですが、期待をスカされた感は否めないんですよねぇ。