甘えてくる年上教官に養ってもらうのはやり過ぎですか? 神里大和(富士見ファンタジア文庫)
年の差九歳、禁断の元教官×教え子の同棲ファンタジーストーリー。
内容としては年の差ヒロインとの同棲生活がメインですが、悪魔との戦争や悪魔の血を引く忌み子の存在など
シリアス要素も濃いめになっているため、緩急が利いた作品に仕上がっている印象。
養ってもらう、というよりは主人公が養っているようにしか見えないタイトル詐欺は気にしてはいけません。
また、同棲もののお約束通り、頻繁なお色気シーンも完備されているので目の保養はバッチリ。
ラストは悪魔との最終決戦に勝利し、人類は穏やかで平和な日々を手に入れるのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのミヤと結ばれ、結婚式を挙げて終了。
主人公は先の大戦で大怪我を負い戦線離脱するも、戦場復帰を目指す若干十七歳にして最強の悪魔殺し。
真面目で基本的に静かであり、感情的な態度をとることは少ないが、どんな困難なことであっても
取り組んだことを達成するまで止まらない、やると決めたらやる頑固な性格をしている。
悪魔の血を引く忌み子の格下げ要因をなくすために悪魔を殲滅することを夢として公言しており
それを笑わずに受け止めてくれた恩師のミヤに女性として惹かれており、人となりに憧れを抱いている。
ヒロインは公私差激しい元教官、面倒見の良い幼馴染、クールな同級生、マイペースな鍛冶職人、元乳母な悪魔。
一番のお気に入りは愛情表現がドストレート(下品)な同級生の狙撃手、エルザ・クルジスタ。
平均的な体躯、どこか眠たげな碧い瞳に背中の途中まで伸びた綺麗な銀髪が特徴的な美少女。
普段は口数少なく、クールに振る舞っており、表情や感情も無を貫いているため考えが読めない。
マイペースな性格で誰に対しても同じ態度だが、外見からは想像できないレベルの桃色思考回路の持ち主で
変態性が高く、自分の欲求に忠実で気が強いためたびたび主人公を困らせがち。
不思議ちゃんなキャラクターに反し、意外にも料理上手。
評価はC。
公人としては有能で周囲からの信頼も厚いデキる女なのに、私人としては女子力檄低なポンコツお姉さん。
メインヒロインであるミヤのこのギャップが当作品の最大の推しポイントであると言えるでしょう。
恋愛レースにおける勝ち目は皆無でありながらも、それぞれのスタンスで主人公を支えんとする他ヒロインたちの
可愛さも申し分なく、初期ヒロイン全員が物語開始時点でフラグ成立済みというわかりやすさもグッド。
肝心の主人公にしても、重傷を負いながらも大切な人たちを守るために戦線復帰せんと努力を惜しまない
まっすぐな意思の強さが格好良く、ヒロインたちに慕われるだけの魅力が備わっていましたしね。
本筋はいくつか使いきれていなかった設定こそいくつかあったものの、ストーリーは綺麗に纏まっていた印象。
ただ、最終巻は流石に駆け足過ぎな上、一番の盛り上がり所になるはずの悪魔と人類の最終決戦も
主人公サイドしか描かれていなかった、しかもそれすらアッサリ風味だったのは正直拍子抜けだったかなと。
そもそも、ラスボスの事情や背景がかなり哀れなので勝利時の爽快感が全然なかったですし…
あと、ラブコメ面もタイトルからして最初からミヤの勝利エンドが確定していたというのは理解できますが
それにしたって他ヒロインにチャンスがなさ過ぎて、何のために存在していたのかと言いたくなるわけで。