ハニトラは効かない。英雄だからね、俺   夏目坂一家(富士見ファンタジア文庫)



たった一人で魔物との戦争を終結させた英雄が数々のハニートラップを回避していく新たな英雄譚。
主人公が独力で世界を救った人類の英雄であるがゆえに世界のパワーバランスを崩す存在であり
彼を放っておくわけにはいかない各国は彼を自国に引き込むべくハニトラに長けた少女たちを派遣。
というのが物語の基盤なわけですが、主人公を取り巻く重めの背景とは裏腹に話の雰囲気は軽め。
何せ黒幕ポジションであるはずの各国の国家元首たちのノリがバカっぽくてコミカル感が強いですし。
勿論理想と現実に苦悩する主人公の姿や否応なく発生するバトルなどのシリアス要素もありますが。
ラブコメ面は主人公がハニトラを警戒しているため、ヒロイン側の好意に関わらず進展は当分なさそう。

主人公は異世界からの侵略者である魔物との戦争をたった一人で終結させた英雄。
失われた青春を取り戻し、彼女を作ることを目的として桜束魔法学園に通うことに。
外見は黒髪短髪、そして整った顔立ちながらタレ目気味の赤い三白眼な濁った眼が特徴。
明るくフランクでノリがよく(戦闘関係以外では)割と単純と、ややバカっぽい性格をしており
長年戦場で戦い続けてきたがゆえに一般常識に欠け、日常でも戦士としての意識が出ることもしばしば。
色恋に関しては異性経験ゼロということもあり、女の子に興味こそあるものの、考え方は純情で古風。

ヒロインは無意識天然系SP、誘惑米国娘、ドSロリ英国娘、ストーカー中国娘、ポンコツ姉貴分司令官。
二巻にて小悪魔な自称妹が参入。
一番のお気に入りはイギリスから派遣された高飛車マニア向けなドSロリ、キャストルテ・アンブローズ。
同年代の男子の腰ほどまでしかない身長に琥珀色の瞳、芯の強さを潜ませているあどけない顔つき。
そして縦ロールの金髪が特徴的な美少女で、二つ名は「妖艶なる支配者(ピグレット・クイーン)」
高貴な血筋にして野心家な一族であるアンブローズ家の次期当主で、洗練された立ち振る舞いに加え
向上心と立ち上がる早さは他の追随を許さず、また、意外にも面倒見の良い性格でもあるのだが
その実態は男をブタ扱いし、鞭を振るったりして虐げたがるサディストだったりする。
ただ、その一方でアガリ症であったり、迫られると動揺したりと、メンタルはかなり弱い。

現時点(二巻)においての評価はC。
背景はガチなのに、やっていること自体はゆるゆるドタバタなラブコメというギャップが笑えます。
あと、ハニトラがメインだからお色気イベントが多くても不自然ではないのがいいですね。
挿絵もヒロインたちが肉感的に描かれて色っぽいですし、サービスカットが多めで目に嬉しい。
キャラに関しては、真っ当な青春を望むがためにハニトラに振り回されながらもアプローチを拒絶し続ける主人公と
すれ違いから何故か好感度がガンガン上がっていくヒロインたちの組み合わせが最高。
ハニトラ要員と銘打ちつつも、ヒロインズは基本的には良い娘ばかりなのでストレスを感じずに済みますし。
本筋は一巻終了時点で主人公が過去を乗り越え、敵の残党幹部を撃破と学園生活は前途洋々ですが
思わせぶりに語られた、近い将来に現れる「災厄」の存在など、不穏な要素も。