世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する   月夜涙(角川スニーカー文庫)



暗殺貴族の長男に転生した世界一の暗殺者による最強無敵のアサシンズファンタジーストーリー。
大枠としては異世界転生ものですね。転生前に世界一の暗殺者だったがゆえに有している知識と経験。
そして転生先が異世界最強と謳われた暗殺一族だったがゆえに受け継いだ秘術と魔法。
その相乗効果によって最強の暗殺者として成長していく主人公が頼もしすぎて痺れます。
また、暗殺者という存在をきちんと掘り下げている独特の着眼点も中々に興味深くて面白い。
と同時に「暗殺とは一体…?」と突っ込みたくなるようなド派手な技が出てくるのは見栄え上仕方なしかと。
ラブコメ面は三人のヒロインと婚約を交わし、ハーレムエンドは確定となりましたが、さて。

主人公は転生前は世界最高の暗殺者であり、今世では神童と呼ばれる暗殺貴族の長男。
転生の際に女神から「人類に厄災をもたらすと予言された勇者を殺す」というミッションを受けた。
道具として生き、最後は捨てられた前世ゆえに、現世では一人の人間として生きると決めており
前世での死亡時に老年だったことから肉体年齢に比べ精神年齢が高く、博識で落ち着きがある。
論理的な思考を主としており、分析力に長けているが、未知の知識に対する好奇心も旺盛。
また、危急であっても冷静かつ慎重だが、同時にリスクを恐れない思い切りのよさも持ち合わせている。
潜入の際に便利だから、という理由で料理技能と資格は一通り修得済みで腕も確か。

ヒロインは天真爛漫な貴族令嬢、努力家な専属メイド、理知的な妹分、完璧超人な公爵令嬢。
あと、男装勇者や策士な王女が昇格候補?
一番のお気に入りは商会人としての主人公の代理と暗殺チームのバックアップを務める妹分、マーハ。
すらりとしたスタイルに、艶やかな青髪が特徴的な美少女。
クールなしっかり者で理知的な性格をしており、戦闘センスには欠けるが後方要員としての頭脳は優秀。
元商家の娘で、両親を夜盗に殺され、その後劣悪な孤児院で暮らしていたところを主人公に引き取られる
という来歴から彼に対し絶大な忠誠心と恋慕を抱いており、彼のためであるならば殺人も厭わない。

現時点(七巻)においての評価はC。
暗殺者が主題になっているだけに、敵を容赦なく確実に殺す主人公のダークヒーローっぷりが格好いい。
また、人であるがゆえの感情の発露こそあれど、動くべき時に無駄な躊躇や苦悩がないのもグッド。
精神性はともかく、手段がもう暗殺者の範疇を超えている気がするのはまあご愛嬌ということでw
一方、そんな彼を取り巻くヒロインたちも当然のように覚悟完了で強メンタルな女の子が大半ながら
同時に日常パートを彩る可愛らしさも兼ね備えており、暗殺という暗い雰囲気を吹き飛ばす華やかさは抜群。
本筋は人類の敵に堕ちてしまった親友を倒し、黒幕である蛇魔族との決戦へ。