はぐれ賢者の魔王討伐リスタート!   藤井論理(角川スニーカー文庫)



報われなかったお人好し最強賢者が勇者の少女に頼られて二度目の冒険へ旅立つ、再帰の冒険譚。
ファンタジー世界を舞台に勇者パーティが繰り広げる魔王討伐の旅、というのが大枠ではありますが
愛と勇気と友情と希望と正義に満ち溢れた英雄物語! みたいな王道要素はあんまりありません。
寄り道多め、パーティメンバーは残念人間ばかりと、コメディ重視な珍道中がメインに描かれています。
ラブコメ面は今のところ進展なし。メインヒロインのロゼが優勢気味ではありますが…

主人公はずば抜けた才能を持つがゆえパーティの仲間に疎まれ、第一線を退き山奥で隠遁していたが
勇者の資格を持つ無才の少女ロゼの魔王討伐の旅をサポートすることになった大魔法使いの青年。
パーティ追放の過去からちょっと人間不信気味なところがあり、過去を思い出したり仲間に関する類の
単語が耳に入ると耳鳴りと強い眩暈の伴う激しい嘔吐感に襲われ「あばばば」しか言えなくなる。
正義感が強くお人好しで、人間関係にトラウマを持ちながらも困っている人を助けずにはいられない性格。
基本的に常識人で慎重に動くタイプではあるが、スケベ心には流されてしまうこともしばしば。

ヒロインはポジティブな無才勇者、レズっ娘神官、引っ込み思案な侍。
一番のお気に入りは引っ込み思案で前衛職にもかかわらず前に出られない貧乏侍、ニノ。
袴にブーツの出で立ちが特徴的な、抜群のスタイルを持つ黒髪の美少女。
自分に自信がなく、人見知りで引っ込み思案、口下手ととにかく人付き合いが苦手な性格をしている。
主人公同様常識人で慎重な判断ができるのだが、経済的に苦労しているため金に弱い。
色恋には超がつくほどの初心で、破廉恥な事態に直面すると気絶してしまうことも。

現時点(一巻)においての評価はC。
グダグダでボケとツッコミが乱舞する、笑いに溢れた面白おかしい旅路が楽しい。
キャラに関しては、規格外の力を持ちながらも曲者揃いな面々に振り回され、それでもおかんのごとく
フォローにツッコミにと苦労ばかりかけられる中、締める場面では締める主人公が好印象。
まあ、ちょっと頑張り過ぎじゃね? と思わないでもないですが、なんだかんだで楽しそうなので無問題。
良く言えば個性豊か、悪く言えば駄目人間揃いなヒロインズも面白可愛く、見ていて飽きないです。
本筋は正式に勇者パーティに加入した主人公が勇者のフォローに苦労しつつ魔王討伐の旅路を続けていく。
という構成で進むようですが、続きが出るとすれば主要キャラの掘り下げをやるのかな?